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株式会社ジーシー創業95周年記念・GC友の会60周年記念 第4回 国際歯科シンポジウム

世界のトップ研究者が語る
「いま一番確実な接着」

田上順次 先生(コーディネーター)
Bart VAN MEERBEEK 先生・Mark A. LATTA 先生・宮崎真至 先生

コーディネーターに田上順次先生をお迎えし、接着歯学の研究や臨床で世界をリードされる3名の先生方からご講演をいただいた。
イントロダクションで接着歯学の変遷を田上先生が解説。そのなかで、今日の日常臨床で接着は欠かせないもので、進化もしたが、市場にはさまざまなタイプのセメントやマテリアルが普及してきて、術者も分かりにくい使用環境なってきた。そのため、今一度、個々の材料の特性を理解する必要があると語られた。

Bart VAN MEERBEEK先生は「直接(および間接)接着修復のための最適な臨床応用プロトコル」という演題で、「エッチ&リンス」と「セルフエッチング」それぞれのシステム特性を解説された。
リン酸エッチングを行ったエナメル質は明らかに接着耐久性が向上するが、コラーゲンの露出も招くので、接着安定性を実現するにはレジンがどれだけ露出コラーゲンを覆い、抵抗性のあるハイブリッド層を形成するかが重要だと解説された。そのための研究開発も行われていて、コラーゲンを守るバイオモディフィケーション・システムなどは将来的に臨床応用されるかもしれないと述べられた。
セルフエッチングは、エナメル質の接着を向上させるためには粗面処理が必要だが、近年では1ステップ、セルフアドヒーシブと進化し、接着の安定化も進んでいる。そのなかで重要なのが機能性モノマーで、とくにMDPに注目された。MDPはハイドロキシアパタイトとデンチンとの強い結合を実現し、さらにコラーゲンを守る機能性モノマーだと各種データとともに解説された。エッチ&リンスとセルフエッチングの製品比較では、セルフエッチングのG-プレミオボンドは欧州でもゴールスタンダードだと評価されたが、各社それぞれのシステムは、症例に応じた使い分けが大切だと語られた。
また、間接法によるガラスセラミックやジルコニア、コンポジットレジンなどマテリアルに応じた接着プロトコルを紹介。なかでも、ジルコニアとコンポジットレジンはサンドブラストの必要性を強調され、最後にセラスマートを活用したCAD/CAM症例での接着のコツや勘どころなどを解説された。


Mark A. LATTA 先生は「合着用セメントの進歩:最先端の接着原理」の演題にて、間接修復における各種マテリアルによる接着システムと使い方、そして注意点等を講演された。
接着材料のトレンドとして、光重合型のレジン添加型グラスアイオノマーセメント、セルフアドヒーシブレジンセメント、デュアルキュア型レジンセメントについて、接着強さなど物性を示し、各セメントの物性を十分考慮して、歯質と合着されるマテリアルの種類、窩洞形成での保持および抵抗形態、歯質の状態、患者さんのカリエスリスクなど、トータルに判断したうえで適切な材料を選択することが重要だと解説された。
また、補綴物に用いられる各マテリアルに必要な前処理の原理を解説され、セメントの種類と各種マテリアルの相性を一覧で表示された。さらに、レジンセメントのジーセム リンクフォースを使用したセラミッククラウンのテクニックを披露し、正しい光照射の方法などナノテクノロジーを活かす使い方や特徴、注意点などを述べられた。
まとめとして、術者は多くの優れたセメントを使えるが、症例によってどのような修復をすべきなのか考慮する必要があり、正しい使用方法を守ることが大切だと語られた。

最後に宮崎真至先生が「歯科臨床を支える歯科接着の現在―その理解が臨床に直結」と題して、とくに直接法での臨床ではどのようなことが重要なのかを解説された。
冒頭にこれまでの接着の進化と変遷について解説され、接着技術の進歩により予防拡大が不要になるなど窩洞形態への考え方が変ったことを示された。また、日本ではセルフエッチングが主流であるが、エナメルの接着ではリン酸エッチングが欠かせない症例もあるということを挙げられ、リン酸エッチングを行なう際の留意点を動画で披露された。
含有される機能性モノマーにより脱灰を促すセルフエッチングは、リン酸エッチングよりもエナメル質での接着は落ちるが、年々接着性能も向上し、象牙質にもやさしく、術後の知覚過敏も少ないので、日々の臨床ではとても使い勝手の良い材料になってきたと述べられた。また、ジーシーから待ち時間0秒というG-プレミオボンドが開発されているが、本当に塗布時間に差がないというデータを確認し、まさにこれこそ日本のボンディング技術だと語られた。
接着技術の進歩とともにコンジットレジンのフィラー充填技術も進歩しており、高密度なフィラーのフロアブルレジンも開発されて臨床の幅も広がってきた。その臨床応用例として、MIフィリングシリーズを用いた、前歯、臼歯での充填ポイントを動画で解説された。


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  1. 第4回国際歯科シンポジウム
  2. SESSION13 世界のトップ研究者が語る「いま一番確実な接着」