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株式会社ジーシー創業95周年記念・GC友の会60周年記念 第4回 国際歯科シンポジウム

MI・咬合・予後の安定
これからの補綴修復をどう攻略するか

土屋賢司 先生(コーディネーター)
David GARCIA BAEZA 先生・大河雅之 先生

土屋賢司先生をコーディネーターに迎え、審美修復を踏まえたお二人の先生、そして土屋先生自らもこれからの補綴修復の在り方を講演された。

David GARCIA BAEZA先生は「Soft Tissue Management for Teeth & Implants in the Anterior Zone」の演題で、前歯部審美ゾーンのインプラント治療における軟組織のマネージメントについて、症例を呈示しながら臨床ステップを披露された。
中切歯が歯根破折のケースでは、軟組織に侵襲を与えないように抜歯し、インプラントを即時埋入した症例を紹介。抜歯した天然歯の歯冠部を修正してプロビジョナルレストレーションとして利用する方法を提示された。そして、即時埋入後の歯肉は退縮しやすいので、軟組織を頬側に移植して適切なプロビジョナルを作ることで組織の反応はよい状態に保たれると語られた。
前歯部インプラント治療でのポイントは抜歯で、近心や遠心に組織が押されると組織が戻りづらいので、外傷が生じないように骨壁に触らず非侵襲で抜歯することを強調された。また、プロビジョナルレストレーションは立ち上がりの形態を作るためだけでなく、軟組織の操作・サポート・組織再生時のガイドのためにも非常に重要なものだと述べられ、それに合わせた症例も披露された。
まとめとして、オペと補綴はトータルに考えないといけないもので、それを繋いでいくのがプロビジョナルレストレーションだと解説された。

大河雅之先生は「Minimally Invasive Full-mouth Rehabilitation」と題し、マイクロスコープを使用した精密な処置で、できるだけ歯質を保存する治療を紹介された。
まず、マテリアルの選択では、歯よりも硬いマテリアルでクラウン修復を選択すると、約70%のエナメル質が損なわれ負のサイクルに落ち入りやすいので、歯と同等かコンポジットのように少し柔らかいマテリアルでボンディングレストレーションをするほうがよいのではないかと述べられた。
また、現在は歯科治療の変革期でその大きな要因は2つあると指摘。ひとつは接着技術の進歩とマテリアルの進化、そしてインプラントの登場。これらの進歩により適応症を広げ、歯を360度削る呪縛から開放され、何よりもエナメル質を保存できるようになったと話された。また、もし再治療が必要でも歯質を保存した状態で治療が行えると述べられた。
大河先生のクラスフィケーションでは、クラスⅠはノンインターベンションでMIからNIの時代に入り、歯質の削除を行わずダイレクト、インダイレクトのボンディングレストレーションが世界の潮流になりつつあると述べられた。顎関節症による咬合再建のフルマウスリハビリテーションでも、歯の形成を伴わずニケイ酸リチウムのべニアにより修復できると、症例も披露された。
これからの審美修復では、患者さんが何を感じて喜んでくれたかが重要で、とくにエナメル質は可能な限り残しながら患者さんの要望に応えていくことに本当の意味があるのではないかと強調された。そして、これからはエナメル質を残すことに高い治療費を請求できる診療体系に歯科界も変っていく必要があるのではないかと語られた。


最後にコーディネーターの土屋賢司先生が「修復治療を長期維持させるための総合的判断基準」との演題で登壇。歯と軟組織、そして咬合のマネージメントの包括的な臨床ガイドラインを示された。
なかでもベニア、インプラント、クラウンなどシチュエーションの異なる口腔内でのマネージメントで、マテリアルの選択、色調ではオパシティとトランスルーセンシー、さらにカントゥアーも含めてコントロールする症例を披露された。
歯周組織のマネージメントでは、天然歯とインプラントなど異なるシチュエーションのなかでは、精密なプロビジョナルレストレーションを活用することで、インプラント周囲組織が長期に耐えられるようにコントロールする必要があると解説された。
最後に、補綴治療で最も大切な力のマネージメントでは、咬合再構成をしながら患者さんのスマイルを確保するように考えて行うことが大切だと語られた。そして、これらを包括的に行うことで永続性のある審美修復が実現されると述べられた。


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  1. 第4回国際歯科シンポジウム
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