口腔機能低下症の診断・検査・訓練・資料ダウンロード・Q&A
診断の流れや検査、機能訓練の指導などを紹介します。

自覚的または多角的な口腔機能の低下の疑いがある
わずかなむせ、食べこぼし、滑舌の低下、咀嚼困難、摂取可能食品の多様性の低下など
口腔機能低下症の疑い
(傷病名は「口腔機能低下症疑い」)
【評価項目:口腔機能精密検査】
以下の7つの項目の検査を実施する
-
口腔内環境の評価
-
総合的機能の評価
-
個別的機能の評価
-
個別的機能の評価
-
総合的機能の評価
-
口腔内環境の評価
-
個別的機能の評価
*7つの検査のうち3つは視診・問診
3項目以上該当


2項目以下該当


出典:デンタルダイヤモンド社
かかりつけ歯科医のための口腔機能低下症入門
2024年保険改定対応 一部改編
口腔機能精密検査をすることで
- 感覚ではなく、客観的な数値で診断・管理ができる。
- 現状レベルを知ることができ、長期的に状態の変化を管理できる。
- 噛みにくくなった、飲み込みづらくなった理由を知ることができる。
検査の算定
保険収載されている検査には以下があります。
- 舌圧検査140点
-
3月に1回に限り算定可
- 咀嚼能力検査1140点
-
3月に1回に限り算定可
- 咬合圧検査1130点
-
3月に1回に限り算定可
同時算定可能な組み合わせ
- 舌圧検査
-
- 咀嚼能力検査1
-
- 舌圧検査
-
- 咬合圧検査1
-
※咬合圧検査1(例:デンタルプレスケールⅡ)と咀嚼能力検査1(グルコセンサーGS-ⅡN)の同時算定は不可(3月以内でいずれか1回)
口腔機能低下症が疑われる患者に有床義歯等の新製を行う場合で、有床義歯咀嚼機能検査として咀嚼能力測定または咬合圧測定を実施・算定した場合は、その結果を口腔機能低下症の検査結果としてみなすことができます。
(有床義歯咀嚼機能検査について詳しくは)
管理
口腔機能低下症と診断された方のうち、
- 50歳以上または全身的な疾患等により口腔機能の低下を認める患者
- 舌圧検査/咀嚼能力検査1/咬合圧検査1/口腔細菌定量検査2の少なくとも1つが低下
に該当する場合は口腔機能管理料を算定できます。
- 口腔機能管理料60点
-
毎月算定可
- 口腔管理体制強化加算50点
-
毎月算定可
区分番号B000-4-2に掲げる小児口腔機能管理料の注3に規定する施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た診療所である保険医療機関の場合(口管強)
-
歯科口腔リハビリテーション料3
2 口腔機能の低下を来している
患者の場合
50点 -
月2回
-
1 歯科衛生実地指導料1
2 歯科衛生実地指導料2
口腔機能指導加算
80点
100点
12点 -
月1回
各検査の算定月イメージ
<例>口腔機能管理料で毎月管理し、
「歯リハ3」で月2回指導を行う場合
※()内赤色数字は口腔機能管理体制強化加算を算定した場合の点数です(+50点)。
初回検査月 | 1か月後 | 2か月後 | 3か月後 |
---|---|---|---|
|
|
|
|
532点(582点) | 252点(302点) | 252点(302点) | 532点(582点) |
SPT治療やP重防を行う日に実施している医院もあります。
歯科衛生士実地指導料と併せて歯リハ3と重複しない口腔機能に係る指導を行った場合は、
口腔機能指導加算として12点加算されます。
※口腔機能管理料は歯科疾患管理料(もしくは歯科特定疾患療養管理料)を算定する場合に算定

算定要件などこちらにまとめております。
ダウンロード診断後の流れ

出典:デンタルダイヤモンド社
かかりつけ歯科医のための口腔機能低下症入門
2024年保険改定対応 一部改編


口腔機能精密検査
- 口腔衛生状態不良(舌の視診)
- 咬合力低下(残存歯数)
- 嚥下機能低下(問診表)
- 低舌圧
- 咀嚼機能低下
- 口腔乾燥
- 舌口唇運動機能低下
動画で学ぶ1

検査説明ツールを活用した検査の進め方動画(11分52秒)
動画を再生
検査説明ツール
各検査方法を1ページでまとめています。
低舌圧(JMS 舌圧測定器 TPM-02)
- 30kPa未満
咀嚼機能低下(グルコセンサーGS-ⅡN)
- 100mg/dL未満
咬合力低下(デンタルプレスケールⅡ)
- デンタルプレスケールⅡ
圧力フィルタあり350N未満
圧力フィルタなし500N未満

口腔機能低下症の管理では、患者への動機づけ、機能訓練の指導、生活指導、栄養指導などを行います。
出典:口腔機能低下症 保険診療における検査と診断
一般社団法人日本老年歯科医学会 学術委員会 2022.8.31 ver
https://www.gerodontology.jp/committee/file/oralfunctiondeterioration_document.pdf

お口の機能トレーニングのご紹介
患者さんへのご案内にご使用ください。
口腔乾燥に 唾液腺マッサージ

嚥下機能に 嚥下おでこ体操

低舌圧に ペコぱんだ

その他のトレーニングはこちら
動画で学ぶ2

口腔機能低下症対応ツール
各検査結果に対する指導・対応方法を
1ページでまとめています。

ケースプレゼンテーション「オーラルフレイルに立ち向かう」
ダウンロード
ケースプレゼンテーション「口腔機能管理に役立つ意外なトレーニング法
~誰もが無理なくできるカラオケの効果を考察する~」

結果記録兼トレーニング指導用紙
検査結果に対応したトレーニング方法をまとめています※代替検査がある項目は該当の基準値を
選択することができます
注:正しく表示するためAdobe Readerをご利用ください
管理に関する記録資料 ダウンロード

資料ダウンロード

結果記録兼トレーニング指導用紙
検査結果に対応したトレーニング方法をまとめています※代替検査がある項目は該当の基準値を
選択することができます
注:正しく表示するためAdobe Readerをご利用ください
院内ポスター
友の会限定動画・冊子

はじめよう!口腔機能低下症への対応
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口腔機能低下症の対応からみえたこれからの歯科医院のかたち
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高齢者・有病者・認知症患者さんの対応のきほん
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診療室に来院される高齢の患者さんへの対応と口腔機能の基礎知識
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診療室からはじめる口腔機能向上ベーシックトレーニング
会員専用ページへ移動外部リンク
口腔機能低下症に関する基本的な考え方(外部リンク)
ページへ移動日本老年歯科医学会「口腔機能低下症 患者さん配布用紙」(外部リンク)
ページへ移動昭和大学高齢者歯科学講座「口腔機能年齢」
(外部リンク)
施設基準の届出書(令和6年度版)
※詳しくは管轄の地方厚生局へお問合せください。
Q&A
口腔機能の低下が疑われる患者さんに行います。
- 食べ物が口の中に残るようになった
- 口の中が乾くようになった
- 硬い食べ物が食べにくくなった
- 食べこぼしをするようになった
- 食事の時間が長くなった
- 滑舌が悪くなった
- 食事の時にむせるようになった
- 口の中が汚れている
- 薬を飲みにくくなった
- 口臭がするようになった
ポイントは以前と比べての変化を確認すること
初めからすべてをそろえる必要はありません。まずは舌圧測定器だけあれば大丈夫です。
記入例はこちらです。舌圧検査は施設基準の届出は不要です。
記入用紙はこちら
※詳しくは管轄の地方厚生局へお問合せください。

義歯製作の際に、有床義歯咀嚼機能検査としても利用できます。咀嚼機能低下の検査に用いるグルコセンサーと咬合力低下の検査に用いるデンタルプレスケールⅡは、有床義歯咀嚼機能検査では、それぞれ咀嚼能力測定、咬合圧測定として実施可能です。
(有床義歯咀嚼機能検査について詳しくは)
- ①新製有床義歯管理料の「2 困難な場合」に準じる場合
- ②舌接触補助床を装着する場合
- ③広範囲顎骨支持型装置埋入手術を予定している場合
- ④有床義歯を装着する患者であって、左右第二大臼歯を含む臼歯が4歯以上欠損している場合
- ⑤口蓋補綴、顎補綴を装着する場合
初回の口腔機能低下症の検査(口腔機能精密検査)を行い、管理計画に基づき管理を行う場合、管理中は必ずしも検査を行う必要はありません。
口腔機能低下症の管理は、必ずしも毎月行う必要はありません。管理計画立案の際に、患者さんとゴールを共有し、それに基づいて管理の間隔を計画します。
低舌圧が認められた場合には、舌の筋力アップのトレーニングを実施します。スプーンなどを利用して行うことも可能ですが、専用のトレーニング用具であるペコぱんだ(JMS)を用いた抵抗訓練が効果的です。
舌の筋力アップのトレーニング に用いるペコぱんだ。
硬度は6種類あり、患者さんの状態に合わせて選択できます。

その他の項目はこちら

口腔機能低下症の疑問に答える令和6年度 診療報酬改定対応版
※2024年7月作成の資料です