2024年7月に実施したライブセミナー動画の再配信です。
口腔機能低下症について、背景から検査、トレーニング、保険診療の流れまで簡潔に紹介しております。ぜひご覧ください!(36分23秒)
口腔機能低下症の検査と管理のポイント (11:45~)
①口腔衛生状態不良 ②口腔乾燥 ③咬合力低下 ④舌口唇運動機能低下 ⑤低舌圧 ⑥咀嚼機能低下 ⑦嚥下機能低下
口腔機能低下症の管理・トレーニング (24:38~)
口腔機能低下症の保険診療の流れ (32:57~)

なぜ歯科医院で口腔機能の検査や管理に取り組む必要があるのでしょうか。
それは、口腔機能の衰えと体の衰えに相関関係がある*1からです。
日本は現在前例のない「超高齢社会」に突入し2019年の高齢化率は28.4%、4人に1人が65歳以上の高齢者となっています。2065年には高齢化率は38.4%、2.6人に1人が65歳以上になると推計されています*2。2016年のデータでは、健康寿命(健康で自立した生活をおくれる期間)と平均寿命の差(要介護期間)が男性で8.8歳、女性で12.4歳となっており、約10年の自立した生活ができない期間があるということになります。
日本人の平均寿命と健康寿命の差
(平成28年)*3
平均寿命
健康寿命を延ばすために
歯科医院が介入できることの1つが
お口の機能の診断と管理です。
歯があるから健康?
8020達成者は51.6%*4となり、いずれの年代においても20歯以上の歯を保有する方が増加しました。
しかし、歯が残っていても舌の力、唾液量などお口の機能が衰えていると食事がうまくできないことがあります。歯があっても食べる機能が低下していると、かための食事がとりにくくなり、たんぱく質や食物繊維などが不足し栄養が偏りやすくなります。
*5

*1
お口の機能が低下している人が抱えるリスク | |
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健康な人と比べて | |
身体的フレイル | 約2.4倍 |
筋力低下(サルコペニア) | 約2.1倍 |
要介護認定 | 約2.4倍 |
総死亡リスク | 約2.1倍 |
- 用語解説:フレイル
- フレイルは、要介護状態に至る前段階。身体的脆弱性のみならず精神・心理的脆弱性や社会的脆弱性などの多面的な問題を抱えやすく、自立障害や死亡を含む健康障害を招きやすいハイリスク状態を意味する*6。
- 用語解説:サルコペニア
- 高齢期にみられる骨格筋量の低下と筋力もしくは身体機能(歩行速度など)の低下。サルコペニアでは転倒、骨折のリスクが高く、サルコペニアを合併すると癌患者の生存率が低下、手術の死亡リスクが高くなる*7。
このような患者さんはいませんか?
- 水を使った処置でむせやすい
- ミラーが頬粘膜にはりつく
- 声が聞き取りにくくなった
- 歩くスピードがゆっくりになった
- 最近痩せた
- 「かたい物が食べにくい」「飲み物や汁物でむせる」と悩んでいる

当てはまる方はお口の機能が
低下しているかもしれません
オーラルフレイルの概念図
*8

*Potentially Inappropriate Medications
(潜在的に不適切な処方)
一般社団法人 日本老年医学会
一般社団法人 日本老年歯科医学会
一般社団法人 日本サルコペニア・フレイル学会
「オーラルフレイル」とは
わずかなむせや食べこぼし、滑舌の低下といった口腔機能が低下した状態を示します。
口の機能の健常な状態(いわゆる『健口』)と『口の機能低下』との間にあり、改善も可能な状態です。
*8

*8

オーラルフレイルのリスクはオーラルフレイルの認知と有意に関連があることが明らかとなっています。*9
患者さんにオーラルフレイルをご案内しやすいよう、リーフレットをご用意しています。
リーフレットはこちら
「口腔機能低下」とは
口腔内の「感覚」「咀嚼」「嚥下」「唾液分泌」等の機能が低下している症状です*10。検査を行い、基準に該当すると口腔機能低下症と診断されます。この検査は2018年より保険収載されました。
【口腔機能低下症を楽しく/わかりやすく学ぶ】
②ミルクボーイ漫才動画「口腔機能低下症と検査の話」はこちら
(大阪府歯科医師会 歯科医師向け 7分43秒)
口腔機能低下症は歯科治療・口腔衛生管理・口腔機能管理で維持・回復できます。
どんな検査をするの?
口腔機能精密検査
- 口腔衛生状態不良(舌の視診)
- 咬合力低下(残存歯数)
- 嚥下機能低下(問診表)
- 低舌圧
- 咀嚼機能低下
- 口腔乾燥
- 舌口唇運動機能低下

検査説明ツールを活用した検査の進め方動画(11分52秒)
動画を再生どのくらいの人が口腔機能低下症なの?
50代では48%、60代は60%以上が口腔機能低下症に該当しているという調査報告があります。*11
令和3年の人口推計において50歳以上は約49%のため*12、検査対象の患者さんが皆様の医院にも来院されていらっしゃるのではないでしょうか?
年代別の口腔機能低下症の割合*11

50代の2人に1人が口腔機能低下症
患者さんが喜んでくれた
50代の患者さんの関心が高く、
検査を希望されることが多い患者さんのQOL向上はもちろん、
歯科衛生士としてのやりがいに繋がった定期来院が増え、
メインテナンスが行いやすくなった検査が簡単だった
