『歯は何グラムの力で動くのでしょうか?』
今までの矯正治療は、ほんとうに生体に至適な力を用いてきたのでしょうか。
たとえ、既に治療法として普及し、日常の臨床で多くの矯正医が何の疑いも無く用いている方法であったとしても、まだまだ改善の余地を含んでいたり、思いもしなかった生体の反応性に気付かされる場合も多くあります。それを、個々が有する生物学的な差異、として総括してしまうのは、やや乱暴ではないでしょうか。なぜ、今までの方法では、痛みが生じたり、後戻りが起きたりしたのでしょうか。
本講演においては、「なぜ矯正治療が必要なのか?」、「咀嚼の生物学的な意味は何か?」という根源的な疑問に対する研究結果を提示するとともに、「こんな力で歯が動いてしまうのか」という新たに開発された治療法を供覧し、生体によりやさしい矯正治療の実現と、今まで見えなかった生体機能に対する診断技法への挑戦をご紹介させて頂きます。