インプラント・オーバーデンチャーは、従来の総義歯と比べて、支持力、保持力、安定性に優れている。オーバーデンチャーを行った患者では、アタッチメント(アンカレッジシステム)の選択は、義歯の安定性と保持力はもちろん、支持骨へかかる負荷の観点からも重要となる。従って、治療の長期的な成功のためには、患者の状態を詳細に把握し、骨の支持能力の範囲内で咬合力を付与できる適切なアンカレッジシステムを選択しなければならない。不適切なアンカレッジシステムの設計による過負荷は、様々な合併症を引き起こすからである。
インプラント・オーバーデンチャーで用いられるアタッチメントは、形態的には単独アタッチメントとバーアタッチメント、機能的には硬性または弾性タイプに分類される。今回は、アンカレッジシステムの選択基準や、過負荷を最低限に抑えるアンカレッジシステムの設計、メインテナンスについて、私たちの臨床経験をとおして考察したい。