臨床において、コンポジットレジンを使用して窩洞を完全な状態に修復し、かつその痕跡を残さないようにするのは非常に困難である。ましてや強度・耐久性まで求められれば尚更である。材料や臨床技術の進歩によって、こうした目標に近づくことはできたが、コンポジットレジンの操作は依然として高い技術が要求される。コンポジットレジン修復テクニックをより高めるためには、臨床家にとっての参考となる方法が必要である。世界的に有名な多くの歯科医師のやり方を総合して見ると、比較的多く採用されているのがレイヤリングテクニックという方法であるが、具体的操作にはそれぞれ若干相違がある。そこで、本講演では私自身が採用している方法を紹介しようと思う。簡単で習得しやすく、術者、患者双方に満足いただける私の方法がご参考になれば幸いである。正中離開に対して、見た目に美しく自然なコンポジットレジン修復を行うことは簡単ではないことはよく知られているが、歯の形状、歯肉や顔貌との関係が重要である。患者の美しい笑顔に、私のこれまでの臨床をとおしてご紹介する学びやすく使いやすい方法が参考になれば幸いである。