審美修復治療とは本来修復治療の目的である、機能、構造、バイオロジーのすべてが満たされていて審美が完成すること、また一人一人違う顔、口腔内でその人に合ったものをオリジナルで構築することである。つまりエビデンスベースでありながらも、個々異なるシチュエーションに対応していくものであるため、一つとして同じ審美修復治療はない。従って、それぞれの複雑な条件をいかに整理していくかがポイントとなるが、この審美修復治療は先に述べた目的を達成することだけではなく、口腔の健康を将来にわたって保つために必要な治療であるため、できるだけ何もせずではなく、必要な治療を積極的に行うこと、つまり昨今言われるMIというよりもOI(Optimal Intervention:最適な治療介入)ではないかと考える。
審美修復治療における基準も整備されてきた現代では、色のアレンジとして修復治療にはかかせないホワイトニング、そして、矯正で機能を回復しつつ、修復治療でその形態を改善するMulti-Disciplinaryの考えに基づく治療と、一つ一つの治療の確実性が要求される中で、自身の臨床で特に多用するボンデッドレストレーションにおける接着のアップデートについて考察してみたい。