21世紀に入り最も注目されている医療のひとつとして再生医療があげられる。現在、日本における日常臨床で選択可能な歯周組織再生治療としては、骨移植術、GTR法、EMD適用の3つがある。これらは残存する歯根膜組織中に存在する未分化間葉系細胞や欠損周囲に存在する骨芽細胞を利用して、歯周組織の再生を図ることを基本概念としているが、克服しなければならない問題点は多く、未だ理想的な歯周組織再生の域に到達していない。そこで細胞増殖因子や細胞移植を用いた新たな歯周組織再生治療が研究・開発され、そのいくつかは臨床応用に近づきつつある。一方、歯周治療では、従来の機械的治療中心から、抗菌薬などの化学療法を部分的に併用した機械化学療法に移行しつつあり、さらにレーザーを中心とする広義の光療法が用いられている。近年、光と色素の併用による光化学反応を利用した抗菌的光線力学療法が新しい手段として注目を集めている。今回のシンポジウムではこれらの話題を中心に大学病院としての取り組みを紹介したい。