開業して24年が経ち、20年以上おつきあいしている患者さんは250名ほどになりました。なかでも初診時に歯周病の問題を抱えていた方からは臨床のあり方について多くのことを学んでいます。その方たちの経過をみていると、患者のセルフコントロール、メインテナンス、個体への対応、1歯への対応、の順でその良否が左右されることを思い知らされます。重度罹患歯を一時的に治せても、セルフコントロールやメインテナンスが不十分であれば失われる歯は多くあり、逆に予後に不安のあった歯がセルフコントロールにより長期に維持されていることも多くあります。経過から教わった歯周病治療の要点は、一言でいえば「個への対応」です。今回は、骨縁下ポケットや根分岐部病変といった1歯単位の問題から、セルフコントロールの確立といった患者要素を含む問題まで、それぞれの対応とともに、それらをまとめた歯周病治療の組み立てについてお話しします。