きれいな歯肉や粘膜って何ですか? 患者さんの口の中をみながら、私たちはどんなことを考えるのでしょう。歯肉や口腔粘膜の赤い色や白い色、表面のただれや腫れ、やわらかさや硬さ,歯肉の形、等々・・・。いつも頭の中にある“正常”のイメージと比較しながら、目で見える違いや変化を判断しています。
今、目の前にある組織は、血液が流れ、それぞれの個性を持った生きた細胞たちが、互いに協調しながらつくり上げています。そして、外からやってくる細菌などの攻撃に対して、からだを守るために、“炎症”という形で戦いを挑み、そして傷ついた組織を新しい細胞で修復しています。
もし、口腔粘膜や歯肉の上皮、上皮下の結合組織、歯根膜、歯槽骨、血管や血液の細胞、そして、炎症に動員された細胞達の声に耳を傾け、その思いを理解することができるとしたら・・・?
粘膜の表側から見えるわずかな違いに気づき、その内側で起こっていることを想像する“目”を持つことで、今、炎症のどのステージにいるのかを時間の流れの中で捉え、何のためにこの処置をするのか、それによってどんな治癒が起きるのかを理解して、やさしくサポートすることができるのではないでしょうか。