欠損補綴における構造物製作は、“力のコントロール”から…という言葉は、現在の日常臨床においては、“キーワード”である。
また、広範囲における欠損補綴においての術式は、パーシャルデンチャー・インプラント補綴あるいは、双方を組み合わせたインプラントデンチャーとその選択肢は、多岐にわたる。
近年の補綴臨床において、雑誌、講演会等では、オールセラミックをはじめとした審美、またはインプラントというトピックスが多いように思われる。
しかし、この国が世界水準から考えて、長寿国として、今なお健在している暁には、歯科医療の発展があり、なにより欠損歯列をデンチャーワークにて支えてきたことは歴史が物語っている。とくにパーシャルデンチャーにおいては、近年その構成要素を安易にとらえた、デザインも紹介されているようではあるが、従来、パーシャルデンチャーとは、残存歯に間違った負荷をかけず、歯列単位を一体化することをデザインするものである。
また、患者可撤式装置ともなれば、装着脱の考察も必要となり、なにより口腔内にて、“劇的に機能する”補綴装置を目指すものである。
よって、ドクターサイドからの、ベーシックデータをもとに、実際にマスターモデルを通じて立体化する知識は、重要となり“機能と構造力学”がポイントとなる。
そこで今回は、無数に考えられる、欠損歯列に対して、その症例に最たるデザインを立体化する方程式を維持装置を含むパーシャルデンチャーデザインとして考察したい。それらはもともと生体には存在しないものを、構築していくセクションであるがゆえ、その補綴設計における基本概念は重要になることはいうまでもなく、欠損補綴の指標でもある。今回は“デザイン”という部分をどう進化し続けるマテリアルにて表現するかをターゲットとして考察したい。