歯科医師より技工依頼があった際、長期にわたる複雑な工程が見込まれる症例は、多くの情報をあらかじめ自作した情報分類の雛型にあてはめて整理し、より詳しく考察し保存する。そうすることにより各治療ステップにおいて初診からの情報をすぐリファレンスできストレスなく補綴物の作製に活かすことができる。しかしながら技工サイドだけでの情報を蓄積するのみでは補綴の成功は得られないため、歯科医師との良好なコミュニケーションによる連携が必要である。症例をすすめる際、さまざまな口腔内の資料を参考に歯科医師と連絡をとり現在の患者様の状況を確認し、相談のうえ的確な提案等を行い、最良の補綴物を作製提供する必要がある。
特に診断模型作製段階での技工サイドからの情報提供・提案はたいへん有意義でありこの段階での歯科医師との話し合いは以後の治療の成功を左右する重要なものとなる可能性が高いため慎重にすべきである。
補綴治療を進めてゆく上での歯科医師との情報提供の方法等を、臨床例を交えながら説明していきたいと思います。