イニシャル LiSi(リジ)ブロック テクノロジーブック
4/28

4北海道 Youすまいる歯科歯科医師小林祐二※1 visit treatmentとは、口腔内スキャナーとCADソフトウェア、CAMソフトウェア、セラミックブロック加工用のミリングマシンなどを使用して、 一度の来院でインレー・アンレー修復、ベニア修復、クラウン修復などの歯冠修復処置を完了させる治療方法。解消できる。そして3つ目は、「患者の利便性の向上」である。来院回数が少なく済むことはもちろん、麻酔の回数を抑えられることも大きい。麻酔は薬品なので、なるべく体の中に入れないほうが良いというのは、皆さまの共通認識と思われる。総じて、患者の負担を減らすことが可能である。また、CAD/CAMシステムで取り扱うマテリアルには、ガラスセラミックス、二ケイ酸リチウム、ジルコニア、ハイブリッドレジンなどがあるが、1 visitの間接修復においては、次項に記す特長から二ケイ酸リチウムの「イニシャル LiSi(リジ)ブロック」が好適だと考えている。筆者も日々の臨床で活用しており、1 visit treatmentのクオリティアップに大いに奏効してくれている。本稿では、イニシャル LiSiブロックでの1 visit treatmentの実際について、その特徴や利点を交えて解説していく。Sealing:即時象牙質シーリング)し、口腔内スキャナで印象採得するのに約20分、修復物のデザインとミリングに約10分、研磨に約10分、口腔内へのセットに約10分と、最短50分程度で治療を終えられる(図1)。昨今の院内CAD/CAMシステムの普及に伴って、一度の来院で患者に間接法の補綴修復を行う、いわゆる“セミダイレクトの1 visit treatment”が可能となった。1 visitの間接修復 は、支台歯や窩洞の形成、口腔内スキャナで印象採得、CAD/CAM機器で修復物を製作、口腔内に装着という流れで行い、補綴修復を即日・短時間で完了できる。これには術者、患者双方にメリットがある。1つ目は、「歯質の感染・汚染の軽減」である。従来の間接法では次回来院時までに間があるため、処置した歯に少なからず口腔内細菌が感染し、そこから汚染されていくおそれがあった。しかし、即日完了できる1 visitならばその心配はない。2つ目のメリットは、「フィニッシュラインの損傷の防止」である。形成した歯の形態が複雑であったり、歯質の薄い部分があったりすると、次回来院時までに欠けてしまい、補綴装置がアンフィットになることがあるが、1 visitで行うことで、これらの問題をイニシャル LiSiブロックは結晶化のための熱処理工程を必要としないマテリアルで、ミリングマシンで切削加工したら、あとは研磨をするだけで装着できる。当院でのインレーの症例をもとに時間配分を考えると、窩洞を形成してIDS(Immediate Dentin 焼成不要でチェアタイムを短縮イニシャル LiSiブロックの特長と臨床実感イニシャル LiSiブロックを用いた1 visit treatmentの実際

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る