レジンセメント10ポイントCAD/CAMセラミックインレー修復における臨床予後では、修復物と歯質の間に存在するレジンセメント層の摩耗(クレビス)や変色・着色による審美性の低下を引き起こすことがある(図4)。さらに、劣化したセメント層からの微小漏洩は、二次齲蝕の原因となる可能性がある。これらのリスクを低減させるため、つまりレジンセメントの劣化を防ぐためには、マージンの隙間を最小限に抑えることが重要である。修復物マージンの適合性やレジンセメント層の厚さは、長期的な臨床の成功に重要な要因となる。臨床予後における問題点として他には、セラミックイテクノロジーの進歩により、今後ますますCAD/CAMシステムを使ったインレー・アンレー修復の需要が増加すると予想される。これからも、ニケイ酸リチウム系のガラスセラミックスを用いたCAD/CAMブロッポイント微細な二ケイ酸リチウム結晶が高密度に析出していることがわかります。図2 SEMを用いた微細構造評価(10000x)図4 セラミックインレーマージン部の変色咬合面に50µm前後のセメントラインが確認され、ソフトウェアで設定したセメントスペースが確保されていることがわかります。LiSiエナメル図3 抜去歯にレジンセメントで接着されたLiSiインレー咬合面マージンのSEM画像(1000x)切削面にマイクロクラックがほとんど観察されなかったのは、微細で高密度に析出された結晶構造に起因すると考えられます。図5 ミリング後のインレー修復物切削面のSEM観察(100x)ンレーの破折が挙げられる。修復物の破折の要因は様々であるが、その一つとして、ミリング後のインレー体にマイクロクラックが発生し、それが破折の原因となることがある。ミリング後のインレー切削面のSEM像(図5)では、切削面にはマイクロクラックはほとんど観察されなかった。これは、イニシャル LiSiブロックが高密度化された微細な結晶構造を持つためだと考えられる。したがって、イニシャル LiSiブロックで製作された修復物は、マイクロクラックの発生が少なく、破折リスクが低減され、良好な臨床予後が期待できる。ポイントクが主流であることは確実である。インレー修復における長期的な成功には窩洞の適合性が不可欠であり、インレー修復の辺縁および内部の適合性に影響を及ぼす要因の一つ7)として、窩洞形成やその形態が挙げられる(こⅣ. CAD/CAMセラミックインレー修復の臨床予後Ⅴ. まとめ
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