ebook20240601
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図1小臼歯適用に関する後ろ向きコホート研究における合併症の種類毎の頻度と発生時期合併症が15.9%で発生したが、12.8%が脱離であった。脱離したクラウン自体に問題はなく再装着が可能なものが多かった。図3大臼歯適用に関する後ろ向きコホート研究における3年までの累積の成功率(左)と生存率(右)に関するKaplan-Meier曲線図2小臼歯適用に関する後ろ向きコホート研究における3年成功率と生存率この当時の臨床では厳密なガイドラインが未整備であった点注意が必要である。3333ント接着したものを含めたクラウンの「生存率」を調べた。結果、3年成功率は71.7%であった。当初はエビデンスに基づく治療指針2)の周知が不足していたため、不適切な接着処置の症例(グラスアイオノマーセメントの使用やシランカップリング処理がなされないもの)も含まれていいたが、現在は改善していると思われる。この研究では、クラウンの3年生存率は96.4%であった。(図2)2.2 大臼歯に適用したCAD/CAM冠ブロックの4年間の後ろ向きコホート研究の結果3)さらに2016年から2021年にかけて362本の大臼歯へのCAD/CAM冠適用を追跡した後ろ向きコホート研究を行った。この研究でもやはり現在の様な厳密な治療指針2)の周知が進んでいなかった事を背景に小臼歯用ブロック使用やグラスアイオノマーによる接着などが含まれていた。結果として29.3%の合併症が発生したが、そのうち大部分の21.8%は脱離で、破折は意外に少なく1.4%のみであった。やはり脱離は主に半年以内の発生し、多くは再装着可能であった。1年後の成功率は70.9%で、3年後には49.5%であった。クラウンの生存率は、1年後では93.7%で、3年後でも86.5%を維持していた。(図3)

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