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3232セラスマートをはじめとしたCAD/CAM冠ブロックは,フィラーが高密度充填されていることから,海外ではHybrid Ceramicとも表現されます。日本では健康保険制度を背景として独特の進化を遂げていますが,世界においては最終補綴装置としての認知に発展の余地があります。 本項は、IADRニューオリンズ大会※において,東北大学大学院歯学研究科 江草宏教授が発表された内容を書き起こして要約いたしました。ご講演では,研究データをもとに,小臼歯・大臼歯への適用における臨床評価ならびに技術的発展について述べられており,CAD/CAM冠が世界中の人々の口腔健康をサポートしえる可能性について,IADRという歯科界最大の学術の舞台で発信されました。CAD/CAM冠は第二大臼歯を含むいずれの臼歯にも適用可能だろうと考察されたことは,令和6年度(2024年度)診療報酬改定における「CAD/CAM冠用材料(Ⅲ)の適用拡大」を支援するエビデンスと考えられます。※2024IADR/AADOCR/CADRGeneralSession&ExhibitionMARCH13-16,2024NEWORLEANS,LA,USA 日本では、国民健康保険制度の枠組みの中で、歯冠色を求める審美的要求、金属アレルギー対応、そして何より貴金属価格の高騰対策を満たし広く国民のQOL向上を図るものとして2014年以降CAD/CAM冠ブロックが特に活発に開発され、主たる金属代替治療として臨床で使われています。実際に、同ブロックの出荷は右肩上がりでまさに社会実装が進んでいるという状況である。これは世界的にみるとガラパゴスで独自の生物進化が見られたが如く、日本でコスト効果の高いメタルフリー補綴修復モデルの実証という壮大な社会実験が行われているともいえる。この成果は非常に注目すべきことである。2.1 保険適用初期に小臼歯に適用したCAD/CAM冠ブロックの後ろ向きコホート研究1)の結果 2014年から2017年までの547本の小臼歯を対象としてCAD/CAM冠を適用した3年間の後ろ向きコホート研究を行った。その結果、合併症は15.9%で発生しその多くは半年以内での脱離(12.8%)であり、再度セメント接着できるものであった。(図1)以下、合併症が生じなかった割合である「成功率」、脱離後に再セメDivision of Molecular and Regenerative Prosthodontics, Tohoku University Graduate School of Dentistry, Sendai, JapanProf. Hiroshi Egusa■臨床研究からのフィードバック1. ”Galapagos” trend in Japan For metal-free restorations” ~日本でのCAD/CAM冠の現状について2. Clinical performance of CAD/CAM hybrid ceramic crowns ~CAD/CAM冠の臨床評価の現状について‘Clinical Performance of Hybrid Ceramic Restorations’

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