ebook20240601
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2828図4 プロビジョナルレストレーション装着図5 セラスマート300にて製作したエンドクラウン図6 エンドクラウンの装着図7 装着後の口腔内写真作業用模型上での適合は良好である.プロビジョナルレストレーションを製作,装着した.適合の良いプロビジョナルレストレーションでなければ容易に脱離してしまうので注意が必要である.エンドクラウンにはアルミナサンドブラストおよびシラン処理を行う.支台歯にはフッ化物非含有の歯磨剤で歯面清掃,エナメル質に対してセレクティブエッチングを行ったのち,CR裏層面および歯面にプライマー処理を行い化学重合型レジンセメントにて装着した.接着操作は確実な防湿下のもとメーカーの推奨に従って行うことが重要である.Ⅵ.保険診療におけるエンドクラウン修復の成功のポイントと今後の展望安定した臨床成績を得るためにはエンドクラウンに適した材料,セメントを選択することが重要である.エンドクラウンに関するin vitroの研究では,材料として二ケイ酸リチウムガラスやCAD/CAM用レジンブロックを使用したものが多い3,4).二ケイ酸リチウムガラスは優れた機械的特性や接着性,審美性を持つためエンドクラウンに最も適した材料であるが,それと並んでCAD/CAM用レジンブロックも有効な材料であると評価されている.その理由の一つは,CAD/CAM用レジンブロックの弾性係数が象牙質と近似していることである.エンドクラウンは歯冠部と支台歯に挿入する髄室保持部を同一の材料で製作する.そのため,エンドクラウンにとって理想的な材料は象牙質と同程度の弾性係数を持ち,機械的強度が高く,歯質との接着性に優れているものであるといわれている5).CAD/CAM用レジンブロックの弾性係数は約10〜20 GPa程度であり,他のセラミック系材料よりも弾性係数が象牙質(11〜19 GPa)に近いため,エンドクラウンにかかる咬合力が接着面に沿って歯根に分散しやすく応力集中が起こりにくいと考えられている6).もう一つの理由は,エンドクラウンは構造上材料の強度を補いやすいことである.一般的にCAD/CAM用レジンブロックはセラミックス系材料と比較すると強度や弾性係数が低いため,補綴装置の破折や脱離が懸念されることがある.しかし,補綴装置に厚みがあ

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