2727表2エンドクラウンの適応症についてエンドクラウンに適した症例適応に注意が必要な症例図2 治療前の口腔内写真慢性根尖性歯周炎の診断のもと歯内治療を行った.(「保険診療におけるCAD/CAM冠の診療指針2024」(日本補綴歯科学会)を参考に作成)根管充塡後,根管口から1mm程度根充材を除去しCRによる裏層を行う.その後支台歯形成を行った.失活臼歯の単冠症例(保険診療では大臼歯に限る)歯冠高径が低い症例クリアランス確保が困難な症例健全歯質が多く残存している症例湾曲、狭窄根管を持つ症例フェルールの確保が困難な症例部分床義歯の鉤歯となる症例口腔悪習癖を有する症例支台歯に過度の側方力がかかる症例歯軸傾斜が著しい症例審美性が重視される症例咬合面クリアランスが1.5mm以上確保できない症例フィニッシュラインが歯肉縁下に設定される症例フィニッシュラインから髄床底までの距離が2mm未満の症例辺縁歯質幅が2mm以上確保できない症例図3 根管充塡後,CRによる裏層,支台歯形成く,形成量が多い従来型CAD/CAM冠と比較するとその恩恵は大きい.その他にも,エンドクラウンはポスト形成および支台築造が不要であることから歯根部歯質の保存,根管の汚染リスクの低減,チェアタイム短縮が可能である.さらに根管充塡直後から補綴装置製作に移行することも可能であり治療期間の短縮にも期待できる.このようにエンドクラウンはさまざまメリットがある一方で,適応症の選択に注意が必要である. 適応症例適応外の症例Ⅳ.エンドクラウンの適応症エンドクラウンの適応症は失活臼歯の単冠症例である.ただし保険診療では大臼歯部に適用範囲が限られている.「保険診療におけるCAD/CAM冠の診療指針2024」を参考に作成したエンドクラウンの適応症について表2に示す2).適応症の中でもエンドクラウンに最も適した症例は歯冠高径の低い症例やクリアランス確保が困難な症例である.一方,支台歯の歯軸傾斜が著しい症例では,歯軸の修正がほぼ不可能であることから適応は困難である.また,審美性が重視されるような症例では,エンドクラウンはフィニッシュラインを歯肉縁下に設定できないため,マージン部のセメントラインが見える可能性があり適応に注意が必要である.Ⅴ.セラスマート300を使用したエンドクラウンの臨床症例43歳女性.左上第二大臼歯の違和感を主訴に来院.
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