ebook20240601
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表1エンドクラウンと従来型CAD/CAM冠の違い咬合面形態フィニッシュライン補綴装置の厚み形成量根管汚染リスクチェアタイム治療期間バットジョイント髄室保持部の構造があるため確保しやすい比較的少ないフェルール不要のため歯頸部付近のエナメル質を保存可能ポスト形成不要支台築造が不要なため短縮可能セメントラインが見える可能性あり平坦な凹型小さい2626逆屋根の凸型ディープシャンファーラウンドショルダー歯冠高径の低い症例では確保が困難多いフェルール形成するためエナメル質の保存は困難ポスト形成時にリスクあり支台築造が必要間接法で行う場合は治療期間が伸びる良好着性レジンセメントにより支台歯に強固に接着,一体化させるものである.ポスト形成による歯根部歯質の切削を避けられることから,エンドクラウンはポスト構造を有するフェルールのないCAD/CAM冠よりも破折抵抗性に優れているという報告もある1).また,ポストクラウンは前歯部に適応されることが多かったが,エンドクラウンの適応歯は側方力がかかりにくい臼歯であることも相違点のひとつである. エンドクラウンの大きな特長は,髄室保持部と歯冠部が一塊となった構造のため補綴装置そのものに厚みがあることである.そのため,エンドクラウンはクリアランス確保が困難な症例でも強度を確保しやすい.また,エンドクラウンの基本的な支台歯形態は平坦な凹型あるため支台歯形成も行いやすい.さらに,現状では保険適応外ではあるが口腔内スキャナーによる光学印象を行えばフルデジタルワークフローで製作することも可能であり,デジタルデントティストリーとの相性が良いことも挙げられる.審美性エンドクラウン従来型CAD/CAM冠Ⅲ.エンドクラウンと従来型CAD/CAM冠の違いエンドクラウンと従来型CAD/CAM冠の違いを表1に示す.エンドクラウンを選択するメリットは従来型CAD/CAM冠よりも歯質の形成量を減らすことができる点である.エンドクラウンは従来型CAD/CAM冠と異なり補綴装置の厚みを確保しやすいことに加え,支台歯形成においてフェルールは不要であり,フィニッシュラインは歯肉縁上のバットジョイントとする.そのため歯冠部歯質,特に歯頸部付近のエナメル質を保存しやす

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