セラスマート テクノロジーブック
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吸水量マトリックスレジンは、水中浸漬により吸水し、物性の劣化を示します。そのため、CAD/CAM冠、とりわけ大臼歯適応の材料であるセラスマート300においてはより吸水性データが注目されます。そこで、セラスマートシリーズの吸水量を、JDMAS 245:2020に準拠した水中浸漬7日後のデータで検証。その結果、いずれも、それぞれの適応部位に応じた機能区分の基準値を満たす十分に低い吸水性を示しました。セラスマート300については、棚澤らの報告【12】を考察すると、1年間の水中浸漬においても大臼歯CAD/CAM冠の規格であるJDMAS 245:2020タイプ3の規格値以下の吸水量であるだけでなく、経時的な吸水量の変化も極めて低く、口腔内での長期的な安定性が考えられます。審美面ではレジンの吸水により、食品の水溶性色素も同時に取り込むため、元々の歯冠色から変色をきたすという問題があります。吸水性は低い方が食品・飲料などに触れた際の耐変色性が高くなるのです。セラスマートレイヤーは、より長期の水中浸漬試験において他の前歯部用レジンブロックと比べて有意に小さい吸水量を示すことが報告されています【06】。また、その傾向と一致して、コーヒー水溶液への7日間浸漬での変色による色差ΔE*abが1.05であり、比較対象とした前歯部用CAD/CAM冠レジンブロックに対して低い結果となりました。色差ΔE*abについては2.0以上あると、評価者の過半数が肉眼で色調の変化を認識できるいう報告や【05】、ΔE*abが1.5以下であれば目視において判別不能であるという報告があります【20】。なお、本試験条件は7カ月間のコーヒー飲用に相当するとされます【21】【22】。また、セラスマートプライムについて、37℃環境での7日間のワインへの浸漬で色差ΔE*abが1.22であったとの報告もあります【23】。以上の吸水量データと耐変色性試験の結果により、セラスマートシリーズは審美不良が生じにくい材料であると考察されます。3220(μg/mm3)35302520151050セラスマートセラスマートセラスマートプライムレイヤー300Ⅲジーシー研究所 データⅡⅣ値準基の性物の)Ⅳ()Ⅱ(分区能機機能区分(Ⅲ)の物性の基準値18セラスマートシリーズの低吸水性とそれによる優位性口腔内で長期的に安定高い耐変色性

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