コンポジットレジン テクノロジーブック
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7 ▶ ツヤの消失▶ ツヤの獲得・維持▶摩耗しにくい!従来よりCRでは強度を高めるためにレジンマトリクスにガラスフィラーが充填されています。この場合、平均粒径がµm(マイクロメーター:1mmの1000分の1)オーダーのフィラーでは、表面のツヤ出し研磨に時間がかかり、また、口腔内ではブラッシングや咬合によりツヤが低下しやすい傾向でした。そこで、現行のジーシーのCR製品には微細なnm(ナノメーター:1mmの100万分の1)オーダーの「ナノフィラー」を採用しています。ナノフィラーの使用には表面性状や物性に粒径がµmオーダーのフィラーを使うと摩耗で粒子が抜けた箇所や粒子が表面に突出した箇所が粗面化し、光が乱反射してツヤが消えやすくなります。現行のジーシーのCR製品では、粒径がnmオーダーの微細なナノフィラーを使用。これにより、表面が平滑になり、ツヤが得られやすくなりました。平滑な表面では光が乱反射しにくく、摩耗したとしても構成しているフィラーが小さいため、摩耗面もより平滑になり、ツヤが落ちにくくなります。研磨直後と同じように光が反射し、乱反射しにくいのです。また、同じ理由で表面の凹ナノフィラーの使用は耐摩耗性の向上にもつながります。ナノフィラーは粒径摩擦が小さいお蔭で表面が平滑になるので、対合歯滑走時の抵抗が低く、摩耗後も平らな表面が維持され、さらなる摩耗もしにくくなっています。対して、自社従来技術の場合は、フィラー粒径が大きく、表面がより不均一で平滑になりにくいため、対合歯滑走時の抵抗が高く、フィラーの抜け落ちが起きやすくなります。これにより、表面が粗くなり、さらなる摩耗が誘発されてしまいます。様々なメリットがあります。一方で、大きいµmオーダーのフィラーを使うほうが、技術的には容易に強度を出しやすいのは事実です。それに対して、ジーシーではあくまでナノフィラーの良さを生かしながら高い強度を出すことを設計思想としています。その実現のためにナノフィラーテクノロジーと並行して後述のFSCテクノロジーを組み合わせて技術を高めています。凸を研磨することで平滑にしやすいので、簡単に、短時間でツヤ出しが実現できます。ナノフィラーによるツヤの獲得と維持のメカニズムナノフィラーによる良好な耐摩耗性研磨直後●ナノフィラーにより、滑沢な表面の獲得●摩耗後も平滑な表面維持= 光は研磨後と同じように反射研磨直後●滑沢な表面で,対合歯滑走時の低い抵抗●摩耗後も平らな表面の維持ナノフィラー使用(フィラー粒径が細かい)ナノフィラー使用(フィラー粒径が細かい)摩耗後研磨直後●大きなフィラーにより、表面平滑化が 難しい●摩耗後にフィラーが抜け落ち粗面化= 光が乱反射摩耗後研磨直後●粗面による対合歯滑走時の高い抵抗●フィラーの抜け落ちにより表面粗面化●荒れた表面により 更なる摩耗の誘発▶摩耗しやすい従来技術(フィラー粒径が大きい)イメージ図従来技術(フィラー粒径が大きい)イメージ図摩耗後摩耗後ナノフィラーテクノロジーCR技術紹介

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