20一般論として、フロアブルタイプのバルクフィル CRは窩壁とのなじみを重視するほか、硬化深度の向上や重合収縮の低減が基本設計となっており、その一方で強度が低めとなり咬合面には強度の高い CR を積層するのがセオリーとなっています。しかし、インジェクタブルCR であるグレースフィルバルクフローでは強度も兼ね備えています。舩山らの報告 11)によると、グレースフィルバルクフローの 3 点曲げ強さ並びに圧縮強さの平均値はそれぞれ1 8 0 MPa ならびに 3 5 3 MPa とされており、比較対照試験後に凹凸が見られず、むしろ研磨痕が消失していた。グレースフィルバルクフロー三体摩耗試験前後の表面SEM像(x3000) 7)左:試験前 右:試験後群に対して統計学的に有意であるとされています。また、村田らの報告 7)によると、グレースフィルバルクフローの重合収縮率は 2 . 6 % と低水準であり、かつ、三体摩耗試験においては比較対照群に対して有意に少なかったとされています。µm サイズのフィラーを含む CR ではその脱落による表面の凹凸が多くみられたのに対し、グレースフィルバルクフローでは摩耗試験後も表面が滑沢であり、ナノフィラーの効果により摩耗が抑制されたと考察されています。咬合面での使用にも耐える強度と耐摩耗性
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