コンポジットレジン テクノロジーブック
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ら12)、Magneら13)らはエバーエックスフローを修復物ACBDねば18SFRC(ショートファイバー強化型CR)への期待バーエックスフロー)へと進展している(白矢印)(x200)(B),(C):SFC(SFRC)内に入ったクラックの方向変化が見られる(黒矢印)(x200)(D):クラックが収束している(黒矢印)(x500)場合、クラックが咬合などの力学負荷が赴くまま伝播してしまい、修復困難な歯牙破壊につながり得ます。一方、その修復物をSFRCとした場合、さらなるクラックの伝播に対してより抵抗性が生じて抑制し、歯牙破壊のリスクの低減が期待されます。Lippoらの報告15)では同じくエバーエックスフローをベースに使用することで荷重への耐性が増すことに加えて、エナメル質相当部のPFCから象牙質相当部にベースとして使用したエバーエックスフローにクラックが波及した際にクラックの方向が変化・分岐し、収束することを報告しています。これらの結果について、著者らは以下の2点によるものだと考察しています。①エバーエックスフローに加わった応力はガラスファイバーに伝わる16), 17)②ランダムな方向に向いたガラスファイバーがクラックの方向を変える18)これらを総合すると、ファイバーが存在することで、クラックの伝播方向が変化して応力が分散するということになります。その結果、エバーエックスフローのクラックが伝播するのに必要なエネルギーが大きくなります19)、20)21)、22) 。それがエバーエックスフローが荷重への耐性が高い要因とされているのです。コンポジットレジンにガラスファイバーを添加してSFRCとすることで、材料の破壊靭性が向上し、象牙質に近い弾性率を得ることが期待されます。破壊靭性値が高くなることは修復物の靭り、破壊に対する抵抗力を発揮することを意味します。例えば歯冠エナメル部の修復物などが咬合に負けてクラック(亀裂)が発生し、象牙質相当部の修復物に伝播したとします。その時、その象牙質修復物が一般的な粒状フィラーからなるCR(以下、PFC:Particulate-filledcompositeとします。)だったTiuら11)は実際にエバーエックスフローで破壊靭性がPFCに対して上昇することを報告しているほか、Lippoのベースとすることで歯牙の破壊形態に違いが生じることを論じています。同じく、Lassilaら14)はエバーエックスフローの破壊靭性の高さについて報告しています。SFC(SFRC)でのクラック進展所見(SEM像)15) (A):PFC側からの直線的なクラックが進展しベース(エり強さが高まクラック伝播の抑制クラック伝播によって破壊SFRCへ期待される臨床効果PFCSFCファイバーを含まないCRのような硬い修復物SFRCファイバーを含まないCR

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