16一般論として、フロアブルタイプのバルクフィルCRは窩壁とのなじみを重視するほか、硬化深度の向上や重合収縮の低減が基本設計となっており、その一方で強度が低めとなり咬合面には強度の高いCRを積層するのがセオリーとなっています。しかし、インジェクタブルCRであるグレースフィルバルクフローでは強度も兼ね備えています。舩山らの報告9)によると、グレースフィルバルクフローの3点曲げ強さ並びに圧縮強さの平均値はそれぞれ180MPaならびに353MPaとされており、比較対照試験後に凹凸が見られず、むしろ研磨痕が消失していた。グレースフィルバルクフロー三体摩耗試験前後の表面SEM像(x3000) 5)左:試験前 右:試験後群に対して統計学的有意差を以て優位であるとされています。また、村田らの報告5)によると、グレースフィルバルクフローの重合収縮率は2.6%と低水準であり、かつ、三体摩耗試験においては比較対照群に対して有意に少なかったとされています。µmサイズのフィラーを含むCRではその脱落による表面の凹凸が多くみられたのに対し、グレースフィルバルクフローでは摩耗試験後も表面が滑沢であり、ナノフィラーの効果により摩耗が抑制されたと考察されています。咬合面での使用にも耐える強度と耐摩耗性
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