5 遠心のう窩に対しては,最小限の侵襲治療を心がけ,グレースフィル バルクフロー(ユニバーサル)を用いて充填.グレースフィル バルクフローは重合収縮が小さいため,コントラクションギャップが生じにくく,う蝕の再発防止に有利と思われる.光硬化深度が高いので一度で充填することもできるが,筆者は積層充填を行っており,硬さが適度で咬合面にも付形しやすい点や,歯質と色がなじむ点も,頻用している理由である.グレースフィル バルクフローを用いて充填NICCSによる削らない治療削る治療にはう蝕原性のある糖が含まれているため,糖の摂取が頻回になっていた.④ 酸:レモン風味のあめや酸味料としてクエン酸の入ったあめを摂取しており,糖と酸の両方が関わる複合う蝕(combined dental caries,伊藤 2020)のリスクが高くなっていた.⑤ 唾液:刺激時唾液0.6 ml/分で,健常者の50%程度の唾液分泌減退.さらに,クラスプがかかっている部位は唾液が届きにくく脱灰時間が長くなる.遠心面への歯間ブラシの当て方を念のために確認.② フッ化物:1,450 ppmの歯磨剤に変更し,1回に2 cm使用.ブラッシング後は口を軽く一度ゆすぐ程度にして,フッ化物が口腔内に残留するように.③ ④ 糖および酸:口腔乾燥症のためにあめをなめているようなので,糖と酸を含まないコーヒー味のあめだけにする.⑤ 唾液:食後すぐにブラッシングをする.間食の後や就寝前に,フッ化ナトリウム洗口液0.1% 「ジーシー」による洗口を追加.プラークコントロールの状態を確認.隣接面は咬翼法X線撮影,頬側は視診と触診でう蝕の活動性を評価.高濃度フッ化物塗布も行う.14⃝10 Questionsによる問診結果① バイオフィルム:ブラッシングの回数や時間帯,PCRともに問題なし.② フッ化物:意識せずに950 ppmのフッ化物配合歯磨剤を使用.③ 糖:ノンシュガーだが果汁パウダーの入ったあめをなめていた.果汁パウダー⃝患者指導の内容① バイオフィルム:義歯を外してブラッシングを行うよう伝えるとともに,5 ⃝メインテナンス
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