う蝕原性の飲食物と唾液減少口腔清掃とフッ化物使用❸生態の変化❷環境の変化❶ストレス❹9自然なpH低いpHの攻撃増加S.sanguis andS.gordoniiS.mutans,Lactobacilliand Bifidobacteria図6 生態学的プラーク説(伊藤 2020より.Marsh 1994を基に作成)❶ 頻回な糖の摂取によりバイオフィルム中の細菌が糖を代謝して酸を産生❷ バイオフィルム中のpHが酸性に傾き,う蝕が発症(環境の変化)❸ 酸性環境で生き残れる細菌が優勢に(生態の変化)❹ 生き残った細菌がさらに酸を産生し,歯面が脱灰してう蝕が進行するこのサイクルがう蝕に向かうのを防ぐことができれば,カリエスコントロールは達成される糖摂取頻回な酸の産生健康う蝕新時代のカリエスコントロール 治療選択の分岐点 ―予防編―う蝕の治療が,削る治療から削らない治療にシフトした背景には,う蝕の病因論の変遷がある.以前は,う蝕=特定の細菌による感染症と考えられてきたが,現在では,多くの研究の結果,う蝕は口腔内のさまざまな常在菌が関わり合いながら,バイオフィルム中の環境の変化によって起こる非感染性の疾患と捉えられている.現在,う蝕の病因論として支持されているのは,Marshが提唱した「生態学的プラーク説」である(図6).この病因論に基づくと,う蝕に関わる因子をコントロールする目的が明確になる.う蝕の進行に関わる因子が細菌だけではないため,カリエスコントロールの手段が多様化し,歯を削らなくとも,より多くのう蝕になりやすい人をう蝕になりにくい人に変えることが可能になった.新しいう蝕病因論に基づくカリエスコントロールう蝕になりやすい人も,う蝕になりにくい人へ
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