【体験版】成功と失敗をわける 再根管治療における“選択”のポイント
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抜髄処置再根管治療感染根管根管内の細菌感染非感染根管治療目的根管充塡時期歯髄組織の除去即日充塡可水酸化カルシウム貼薬後が望ましい細菌の除去拡大形成根管充塡可能な最小サイズまで拡大80~90%細菌除去に効果的なサイズまで拡大40~70%成功率表1 抜髄処置と再根管治療の比較4歯内療法専門医が抜髄処置を行った際の成功率は約90%,再根管治療では症例の難易度によって変わりますが,平均で約70%といわれています.表1に抜髄処置と再根管治療を比較しますが,非感染根管に行う抜髄処置と感染根管に行う再根管治療とでは,治療の目的や内容が異なり,再根管治療のほうが複雑で難易度が高いことがわかります.抜髄処置では細菌が根管内に定着していないと考えられるため,炎症を起こした歯髄組織を除去し細菌が入らないように緊密に封鎖することが治療の主な目的となります.そのため,根管充塡が行えるサイズまで拡大形成を行えばよく,過度な拡大形成は必要ありません.また,貼薬を行わずに根管充塡を行うほうが仮封状態での細菌感染リスクを減らすことができるため,可能なかぎり速やかに根管充塡へ移行するのが望ましいといえます.一方,再根管治療においては根管内に細菌が定着していると考えられるため,治療の目的は根管内からの細菌の除去と埋葬となります.感染根管の拡大形成は細菌除去に効果的なサイズまで行い,さらに水酸化カルシウム貼薬で細菌数を減少させることも必要になることがあります.このように再根管治療は治療のステップが多く治療期間もかかり,正確な技術が求められることから,さまざまなことを考慮したうえで介入の是非や治療法を判断しなければなりません.再治療を行う理由としては主に,①既根管治療歯に発症した根尖性歯周炎の治療,②既根管治療歯の歯冠修復物の交換に伴う予防的な治療の2つが考えられます.①の理由で再治療介入する場合は,根尖性歯周炎の治癒がゴールであり,②であれば,歯冠修復後に病気が生じないような根管内の環境にするのがゴールとなります. 1 抜髄処置と再根管治療の比較 2 再治療における治療法の選択基準11再根管治療の目的と治療法の選択

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