プラークを3色に染め分けるメカニズム トリプラークIDジェルは、色素とプラーク中の酸の反応で3色に染め分けることができる。よって、本製品で歯垢染色を行うと、プラークの性質がわかる。特にう蝕リスクが高いプラークが水色に染め出されて可視化できるため、「酸」の説明や食習慣、今後の予防対策など効果的な指導に繋げることができる。プラークを3色に染め分けるメカニズム。トリプラークIDジェルにて歯垢染色後。3色ハッキリと染め分けが確認できる。図D図E症例1「保護者の関心が低い」患者さん全体的に厚いプラーク付着が認められる。歯磨き習慣がなく、間食のコントロール不良。話しかけても目が合わず、無表情、反応がほとんどない。45日後の状態。プラーク付着減少と歯肉炎の改善。前回との比較写真で説明したところ、患者さんと保護者ともに喜んでいた。「仕上げ磨き」を通じて母親とのスキンシップが生まれたからか、筆者とも目を合わせた会話が行えるようになり、時折笑顔も覗くようになった。OHIを通して口腔内環境をはじめ、生活環境や親子関係の改善を図ることができた。1-11-3トリプラークIDジェルにて歯垢染色後。水色のプラークを見て驚きを示し、必死で歯磨きの練習を行うようになった。1-2水色赤色青紫色 8歳女子。主訴は「むし歯の治療をしたい」。母親に問診をしたところ、「夜の歯磨きはするように言っても、しないで寝ている」「お菓子が好きだから、好きなだけ食べている」と、子供の生活習慣に対する関心が低いことがうかがえた。 歯垢染色後、水色のプラークを見た瞬間、患者さんは非常に驚いた様子で、それからは「どうすれば良くなりますか?」と質問の嵐。以下3つの対策を提案した(①自分磨きと仕上げ磨き、②間食の時間をコントロール、③フッ素入り歯磨剤の使用)。 45日後、「夜は必ず歯磨きをする」「お菓子はあまり食べなくなった」と生活習慣の改善が見られた。また、母親が「今まで手をかけてあげていなかったことを反省しました。仕上げ磨きを続けます」と笑顔で語ってくれたことが印象的だった。 こうして、一度のOHIで大きな行動変容が起こったのは、水色のプラークの存在だといえる。視覚情報のインパクトで興味が湧き、「むし歯が進みやすい危険な状態にある」と現状を認識できたからだと考える。※イラストはイメージ図です。新しいプラーク新しいプラーク古いプラーク古いプラーク(48時間以上成熟)密な構造のため、赤色・青色とも留まり、青紫 に染まる粗造な構造のため、青色色素が洗い流され、赤 に染まる青色色素水に拡散しやすいバクテリア酸酸酸酸酸スクロースう蝕リスクの高いプラークう蝕リスクの高いプラークpH低下=臨界pHを下回っている明るい水色明るい水色赤色色素が見えなくなり、水色 に染まるpH6.05.04.54.0ジーシー研究所試験結果0.1M乳酸緩衝液のpHを調整し、製品を1%となるように添加した溶液について3秒後の色の変化を評価した。3.53.02.52.0リスク高エナメル質臨界pH5.5細菌がスクロースを代謝し、 酸 を産生赤色色素32No.179 2021-10
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