CASEPRESENTATION 2021年、う蝕リスクを“見える化”する歯垢染色ジェル「トリプラークIDジェル」が発売された。従来と同じ染め出しステップで、プラークを3色に染め分け、プラークの性質を知ることができる。これまでとは全く違う切り口から口腔衛生指導を行うことができる有用なツールである。歯垢染色を面倒に感じて消極的だった筆者も、すっかり魅了された。 口腔、さらには全身の健康においてプラークコントロール指導は言うまでもなく重要である。近年、リスク検査 トリプラークIDジェルは以下のような特長を備え、う蝕リスクを“見える化”する歯垢染色ジェルである。〈主な3つの特長〉①プラークを3色に染め分ける:赤色(新しい)・青紫色(古い)・水色(酸性度が高い)②う蝕リスクを“見える化”:酸性度が高いプラークを水色に染色できる③ジェルタイプ:液タイプの染色材と比べて歯面に留まりやすく、ポイント染めができるはじめにトリプラークIDジェルの特長の器材やモチベーションツールの開発が目覚ましい一方で、変わらず悩みの種になるのは、患者さんへの伝え方や行動変容を促すアプローチではないだろうか。時に、食習慣やホームケアなどの生活習慣に対して、積極的な介入を躊躇することさえある。本製品を使用すると、いま一歩踏み込みづらい話をごく自然な流れで行うことができ、会話が広がる。指導のマンネリ化やアプローチの幅を広げるために、本製品を新たな一手として使用してみる価値は大いにある。 今回、行動変容が難しいと感じられる患者さんへ応用し、筆者が一番驚いたことは「また次回も染めてほしい」と、染め出しのアンコールをいただくほど患者さんから好反応が得られたことである。本製品は、口腔衛生に関して患者さん自らの気づきを促し、行動変容に拍車をかけるツールだと感じている。 今回は、トリプラークIDジェルの特長と、臨床応用例、効果的な使用ポイントを紹介する。12歳女子。プラークコントロール不良。歯磨きは3日に1度、お菓子とジュースがご飯代わりになることもある。トリプラークIDジェルを綿球を用いて前歯部に塗布。ジェル状で歯面に留まりやすい。塗布後、時間を置かずに軽く洗口。水色に染まったプラーク(酸性度が高い)が広範囲に認められる。ブラッシング、食習慣の見直しの必要性を指導した。図A図B図C長崎県 柴原歯科医院歯科医師柴原 由美子マンネリ指導からの脱却!トリプラークIDジェルの効果的な使い方31ジーシー・サークル 179号 2021-10
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