GC技工冊子_p02-32_34dxs_体験版
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CURA ESTHETIC DENTAL CENTER鬼頭 寛之22応用にチャレンジ!フルジルコニア作製における理論とステップはじめに 近年、オールセラミックレストレーションにおいて、従来のレイヤリング法よりもモノリシック素材にステイン法を選択するケースをよく目にする。それらは、症例に応じて材料の選択は変わるが、従来、ステイン法といえばリチウムシリケートガラスセラミックスの一択であった。近年ではジルコニアを選択するケースも増加傾向にある。その理由としては強度と、色調再現性のバランスの良さが考えられる。強度においては、複数歯のブリッジへの対応が可能ということや、咬合圧が強い臼歯の強度面の過補償が可能であることが大きい。色調再現性においては高透過性のジルコニアディスク(ブロック)の登場の影響が大きい。 また、色調再現性と以降の操作性においてジルコニア半焼結時におおまかな色調を付与するカラーリングリキッドはもとより、色調を再現するステイン材のカラーバリエーションの豊富さ、ステインリキッドの種類によってステイン法での選択肢がフルジルコニアクラウンとリチウムシリケートガラスセラミッククラウンの二択となったと考える。 しかし前歯部審美領域へのアプローチとしては、レイヤリングクラウンと比較するとステイン材による表面への平面的なアプローチになるため、色調に深みを与えることや、細部までの表面性状の付与が難点ではある。ステイン法はレイヤリング法と比較すると審美的には劣る点もあるがポイントを抑えておけば、前歯部審美領域の修復においても一定のクオリティを発揮できると考える。今回は前歯部症例でのジルコニアクラウンの作製ステップを提示し、筆者の考える理論を解説する。使用するステインの種類と特徴 筆者の日常臨床においてステイン材はイニシャルIQ ラスターペースト(以下、ラスターペースト)とイニシャル スペクトラムステイン(以下、スペクトラムステイン)の2種類を使用している。両製品とも、熱膨張係数や各マテリアルの焼成温度に関係なく使用することが可能である。特徴と、筆者の使用方法は以下の方法があげられる(表1)。

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