Withコロナ時代に新たな気づきや生活・行動の変化がおこり健康の大切さを意識するようになりました。
本コンテンツは、「 チョット役立つお口の情報 」をコンセプトにエッセイを中心にご紹介いたします。

   

ess01歯医者さんで 青いヒカリがピカッ

日本大学歯学部保存学教室修復学講座

宮崎 真至

光がなくなると,いったいどうなるのでしょうか。植物が光合成できなくなることで酸素が生成されず,動物も生きながらえることができなくなります。光は,生命を維持するために不可欠なものであり,だからこそ太古の人々は,太陽を神としてあがめていたのでしょう。その信仰は,世界各地の神話として残っており,日本では太陽の神様である「天照大神」がそれにあたります。

ちなみに,神武天皇が東征をする際に,皇軍の導きをするためにアマテラスが遣わしたのが日本サッカー協会のシンボルにも採用されている「頭八咫鴉」(やたがらす)です。このヤタガラスは日本代表チームのユニフォームに,エンブレムとして刺繍されています。

話が少しずれてしまいました。では,光が歯科治療とどのようにかかわりがあるのでしょうか。歯科医院を訪れたことがある方なら,一度は目にしたことがあると思います。「青い光」を照射する装置がそのヒントです。

虫歯の治療をする際に,私たちはコンポジットレジンという樹脂を用いて“つめる”という処置をします。コンポジットレジンは,粘土のように自由に形を整えることができるのですが,お口の中で噛む力に耐えるためには硬くなる必要があります。やわらかい状態のものを,硬い状態に変化させるためには,何らかの化学的反応が必要になりますが,その反応を開始するために用いているのが,あの“青い光”なのです。

虫歯を削ると,そこには穴ができます。そこに特殊な接着材を塗り付けて,コンポジットレジンをつめることで穴をふさぎます。そして,歯が元通りの形になるようにしてから“青い光”をあてて,これを固くするのです。こうして,お口の中でも長持ちする治療が完了するのです。

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虫歯の治療以外にも,光を用いる歯科治療は多くあります。特殊な光としては“レーザー光線”も用いられています。これは,歯を削ったりするときや歯茎の治療にも用いられます。このように光は歯科治療にとっても、とても重要なものなのです。

hito-pic 宮崎 真至 教授

profile

1991年
日本大学歯学部保存学教室修復学講座 助手
1994-1996年
米国インディアナ州立大学歯学部留学
2003年
日本大学歯学部保存学教室修復学講座 講師
2005年
日本大学歯学部保存学教室修復学講座 教授
2014-2019年
日本大学歯学部付属歯科病院 病院長