全28セッション一覧

SESSION 22

矯正から考える審美と機能
~前歯と審美性/舌と口腔機能/気道と呼吸機能~

里見 優 先生・髙橋 正光 先生
下田 哲也 先生・外木 守雄 先生

 里見 優先生は、25年前から小児の咬合改善に加えて、咀嚼、嚥下、発音、呼吸、姿勢等の改善に力を入れており、口唇閉鎖と鼻呼吸の獲得を目標に取り組んでいる。口腔機能発達不全症に対して、JMS 舌圧測定器などを用いた定量的評価と患者の経験に即した定性的評価における自院での取り組みについて報告された。

 髙橋正光先生は、アライナー型矯正装置「トランスクリアシステム」の特徴や適応症、治療メカニクスについて解説。歯体移動が困難であったり、患者の協力が得られないと効果が得られないなどの欠点にも触れ、安易な使用について警鐘を鳴らした。また、前歯6本に特化したLOTであるSocial6により患者の主訴を解決することで、歯科治療への関心が高まると訴えられた。

 下田哲也先生は、デジタル化によりエッジワイズ矯正のカスタムメイド化を可能としたZERO SYSTEMを紹介された。既製の装置を加工するのではなく、個々の患者にカスタムメイドとすることで、シンプルで快適性を追求した予測実現性の高い矯正治療が実現すると述べられた。

 最後に、外木守雄先生が、閉塞性睡眠時無呼吸(Obstructive sleep apnea: OSA)の治療法を解説された。Nasal-CPAPのほか、口腔内装置(Oral appliance:OA)を用いた治療法において、下顎の最適な移動距離を評価する歯科タイトレーション法の重要性を強調された。また、いびき音テスト、軟口蓋や舌骨の動きの確認などの適切なアプローチ法について詳述された。