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SESSION 20

続・いま一番確実な接着 〜研究と臨床を語る〜

モデレーター・講師:宮崎 真至 先生
LAWSON, Nathaniel C. 先生・VAN MEERBEEK, Bart 先生

 宮崎真至先生をモデレーターに、接着を考えるうえで必要な科学的見地とそれに基づいた臨床での活用法について、3題の講演が行われた。

 LAWSON, Nathaniel C.先生は、セラミック修復物の接着について、歯質との接着とセラミック表面との接着の2つに分けて解説された。歯質との接着についてはセラミッククラウンの接着を例に、保持形態や修復物の強度を上げるために接着が必要である点を指摘。また、どのような材料を使用するかについては、ジーシーのジーセムONE単独の使用と、ジーセムONEとジーセムONE接着強化プライマーを併用してクラウンの保持力を比較した実験を示したうえで、どちらも高い接着強度を示したが、プライマーを併用したもののほうがより接着強度が高かったことを紹介し、結果について考察された。セラミック表面との接着については、材料ごとの表面処理方法の違いについて解説された。

 宮崎真至先生は接着における材料選択と直接修復法のテクニックについて解説された。エナメル質への接着については、リン酸エッチングがゴールドスタンダードであるとして、手順とポイントを示された。また、正中離開の修復症例を動画で示し、実践的なポイントを解説された。象牙質への接着については、セルフエッチングにおける1ステップ、2ステップの使い分けや効果の違いに言及したうえで、ジーシーのG2-ボンド ユニバーサルはさまざまな場面で使えて高い接着強さと耐久性が得られる、使い勝手のよい製品であることを紹介された。その他にも、臼歯部の修復の際には解剖学的形態を覚えておくことをポイントに挙げ、実際の手技を供覧された。

 VAN MEERBEEK, Bart先生は現在のアドヒーシブシステムの解説のなかで、とくにいわゆるワンボトルのユニバーサルアドヒーシブシステムの欠点について解説された。ユニバーサルアドヒーシブの製品は1ステップで幅広い材料の接着に使用できる利便性の高さから広く支持され、各社からさまざまな製品が上市されているが、各製品の成分を比較するとMDPの濃度などに違いがあり、製品によって接着強度に差がある点を指摘。また、前提としてステップが減ると接着強度は減少するため、使いやすさと接着強度はトレードオフの関係にあると述べられた。1ステップよりも2ステップのほうが接着強度は優れており、1ステップを選択するのであれば、フロアブルコンポジットレジンをその上に使うことで接着強度が増すため、推奨されると解説された。