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SESSION 18

インプラント治療の硬組織・軟組織再生
〜低侵襲で予知性の高い治療とは何か〜

モデレーター:船登彰芳 先生
平山富興 先生・丹野 努 先生・DAGBA,Alex 先生・GARCIA BAEZA,David 先生

 船登彰芳先生をモデレーターに、予知性の高いインプラント、低侵襲な硬組織・軟組織の再生、マネジメントについて4名の演者により講演が行われた。

 平山富興先生は「予知性を考慮したインプラント治療」をテーマに、症例を呈示しながら、包括的な治療計画に基づいたインプラント治療について講演された。実際の治療においては、治療の目的を明らかにし、治療計画を正しい順番で行い、咬合の再建を行うことが治療の成功に結びつくとした。予知性の高いインプラント治療を行うには適正な位置への埋入、硬組織・軟組織の再生を常に考慮する。そして、骨レベル、歯肉レベル、天然歯とインプラントの位置の連続性を獲得することで清掃性のよい口腔環境を構築していくことが重要とした。症例の供覧では、合併症とその原因についても検討がなされた。

 丹野 努先生は「矯正的組織増生法を伴う低侵襲で予知性の高いインプラント補綴治療(前歯部)」をテーマに、低侵襲かつ予知性の高い治療法である矯正的組織増生法の長所・短所、およびその適応症について考察された。症例供覧では、矯正治療を併用したインプラント症例が示され、とくに矯正的組織造成法(OISD)では、側方移動、垂直牽引、垂直的矯正的組織増生法が紹介され、インプラント手術をする前に必要十分な骨のボリュームが獲得でき、抜歯による骨吸収を防ぎ、予知性が高く低侵襲なインプラント治療が可能になるなど、その有用性が示された。

 DAGBA,Alex先生は「Contemporary Implantology:From Single Cases to Highly Resorbed Jaw」をテーマに、やさしい症例から無歯顎や高度に顎堤が吸収した難易度の高い症例まで、さまざまな臨床状況に対する最新の治療法を提示し、そのポイントを解説された。すべての症例においてジーシーのインプラントシステムを採用しており、その有用性を紹介した。インプラント治療においては、抜歯窩の治癒、インプラントの埋入位置、天然歯との距離、垂直的な距離が重要であり、補綴の側面では、立ち上がりのプロファイルも大切であるとした。また、抜歯即時埋入では細いドリルでのドリリングにより低侵襲な外科処置を行うこと、患者のために時間をかけて良い治療をすること、患者が清掃しやすい環境を作ることを強調された。

 GARCIA BAEZA,David先生は「Anterior Area Implants and Soft Tissue Management」をテーマに、抜歯後即時埋入によるインプラント治療における審美領域(前歯部)の正しい軟組織管理と治療法の選択肢について解説された。審美領域のインプラント治療においては、インプラント周囲の軟組織の管理とマネジメント、立ち上がりのプロファイル、軟組織の操作方法やサポート、プロビジョナルレストレーションによる軟組織の治癒が欠かせないとした。軟組織のサポート機能のある精密なプロビジョナルレストレーションにより最終補綴物の装着の前に患者の軟組織の機能を確認することの大切さを強調された。