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SESSION 5

マイクロスコピックデンティストリー

BHARADWAJ, Narasimhan 先生・石井 宏 先生

 BHARADWAJ, Narasimhan先生は「Microscopic Retreatment」という演題で、マイクロスコープを使った再根管治療と、再根管治療を防ぐ方法について解説された。
再根管治療では、治療時に見逃された根管の追跡が重要として、特にMB2についてマイクロスコープを用いた処置の手段を動画も用いて紹介し、聴講者の関心を集められた。
再根管治療の予防の観点では、応力が集中する髄床底の処理が重要とし、歯の強度を維持するために象牙質などの無機質をなるべく残すことを提言。リン酸エッチングなどはせず、ユニバーサルアドヒーシブのG-プレミオ ボンドやファイバー強化型フロアブルコンポジットレジンのeverX Flow(国内未発売)などを用いる具体的な修復を紹介された。

 石井宏先生は「歯内療法外科の今と昔」という演題で講演された。
1つ目のテーマとして、歯内療法に関して過去と現在の術式の成功率の比較を示された。根管治療の原則を守ればマイクロスコープの有無によって成功率が大きく変わることはないことを論じられた。また、マイクロスコープの使用により、穿孔や根管の見落としといった重大なミスを防げることや、加齢による視力低下の助けになる、良い姿勢を保ったまま処置にあたれるなどのメリットがあることも付け加えられた。再根管治療において、根管の形態が維持されておらず、根尖周囲の病変が認められる場合は成功率が大きく下がることが明らかになっていることからこの場合にはマイクロスコープを使うべきと提言された。
2つ目のテーマとして、逆根管充填について解説された。ステップごとの要点を取り上げられる中で、とりわけ強調されていたのが止血の重要性で、マイクロスコープの視野を活かすためには完璧な止血が求められるとし、臨床の動画とともにその手順を紹介された。
最後にマイクロスコープを用いて現在の歯内療法の術式を確実に行えば、高い成功率が期待できるとして、講演を結ばれた。