全28セッション一覧

SESSION 4

長期経過を良好に保つ歯内療法の
プレ&アフタートリートメント

倉富 覚 先生・ZAROW, Maciej 先生

 倉富覚先生は「エンド・ペリオ病変を成功に導くための診断・治療のカギ」という演題で、エンド・ペリオ病変の対応の考え方や症例について語られた。先生は自身の臨床実感として、エンド・ペリオ病変には何らかの形で咬合性外傷が関与していることが多いと解説。咬合性外傷を除去したうえで、エンド、ペリオそれぞれの病変に対する診断と治療を確実に行い、さらに適切な補綴処置を行う必要があると力説された。
また、終盤では「EBMの重要性が叫ばれていることに異存はない」と前置きしたうえで、「成功率の高いEBMだけをピックアップして症例に反映するだけでいいとは思えない」と提起。臨床家にとっては自身で行った症例の長期経過こそが揺るぎないエビデンスであり、成功や失敗を繰り返しながらその原因を考察し、アップデートしていく作業が重要だ、と自身の診療哲学を伝えられた。

 ZAROW, Maciej先生は、「How to Maintain a Good Prognosis after Endodontic Treatment」という演題で、エンド治療後の予後を良好に維持するための要点を解説された。根管治療後には、窩洞の形成や根管の洗浄などにより歯の機械的な性質が変化し、またクラウンの装着などによって歯質が大きく失われることに触れ、根管の状態に応じて適切な修復物を選択することが重要とされた。

 そして、根管治療の状態に応じた処置の手段として、ウォーキングブリーチ後にエッセンシアやeverX Flow(国内未発売)などでのコンポジットレジン修復のみで治療した症例、ファイバーポストを用いて治療した症例など、複数の具体例を挙げて詳説された。