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SESSION 3

From the Cradle to the Grave:
The Art and Science of MI Care

モデレーター:REICH, Elmar 先生
NAVARRO, Maria Fidela de Lima 先生
LEAL, Soraya 先生・BANERJEE, Avijit 先生
MEYERS, Ian 先生・林 美加子 先生

 冒頭にモデレーターのREICH, Elmar先生がMIのメリットについて、さまざまな年齢層・カリエスリスクの症例を供覧しながら解説された。そして、リスク因子の特定、診断、リスク因子のコントロール、MIによる修復、リコールプログラムというMIデンティストリーの基本的な流れをまとめたうえで、患者さんの歯を生涯維持するには、MIのアプローチは非常に優れていることを強調された。

 NAVARRO, Maria Fidela de Lima先生はMI治療で使用される材料とその理論的根拠について解説された。う蝕コントロールの目指すところは、う蝕の原因となる細菌をなくす、口腔内のpHを改善する、再石灰化を促すことであるとして、プロフェッショナルな予防処置やメインテナンス、食事指導の重要性を指摘するとともに、若い患者さんにはジーシーのMI Paste ONE(国内未発売)を、成人で知覚過敏がある患者さんにはMI Paste Plus(国内未発売)の使用を勧めていると述べられた。そして、MIデンティストリーに則った各種症例を供覧し、しっかりとした資格をもつチームと動機づけされた患者の2者間のパートナーシップがあれば、生涯にわたる歯の機能維持は保証されると結んだ。

 LEAL, Soraya先生は、グラスアイオノマーセメントとハイブリッド材料について小児歯科医の立場から解説された。世界的に平均寿命が延びている現代においては、自分の歯を維持し続けるMIオーラルケアという戦略が必要となってくるが、そうしたアプローチに小児歯科はとくに重要であるとして、同大学で妊婦や小児に行っているプログラムを紹介された。そして、小児にう窩が見つかった際に使用する材料は、扱いが容易で短時間で使用でき、生体適合性が高いグラスアイオノマーセメントが選択されるとしたうえで、第三者機関による各種メーカーの製品比較において、ジーシーのEQUIA ForteとフジⅨが優秀な評価結果を得たという論文を紹介された。

 「Preventing Dentistry “MI” Way!」と題して登壇されたBANERJEE, Avijit先生は、MIという言葉が出てきたときにMinimum intervention oral care(MIOC)とMinimally invasive dentistry(MID)という用語が使われることがあるが、MIOCは患者を中心としたフレームワーク・全体像であり、保存修復治療の一部分を指すMinimally invasive dentistryとは異なる点を認識してほしいと指摘された。そのうえで、MIOCを機能されるには「疾患の特定」「予防と管理」「MI的治療介入」「リコール・レビュー」という4つの臨床領域を、オーラルヘルスケアチームと呼ぶべき多職種が連携して機能させることが重要であると述べられた。

 MEYERS, Ian先生は、高齢者におけるMIデンティストリーについて解説された。高齢者は歯が欠けたり劣化した修復物の調整で来院するが、多くの場合、経済的な事情もあり複雑な処置を望まないことが多いため、MIのニーズは非常に高いと指摘。ジーシーのフジVIIやEQUIA Forte(国内未発売)を使用した80代、90代の患者さんの修復治療を供覧し、高齢者のう蝕治療におけるグラスアイオノマーセメントの使用は主流になりつつあると語られた。そして、歯科医療従事者が優れた予防テクニックを確立することは重要であり、食事をチェックし、教育し、患者のニーズ・能力を踏まえて、個別的・合理的なケアによりう蝕リスクの低減を図ることが求められると述べられた。

 林 美加子先生は8020運動を達成した日本の歯科医療の取り組みを紹介し、次なる目標は生涯28本であるとしたうえで、高齢者における根面う蝕にどのように対応すべきかについて解説された。根面う蝕の進展に関する情報を整理したうえで、ジーシーのBioUnionフィラーが修復治療および予防に効果的であることを各種研究データから述べられました。そして、根面う蝕の予防については、根面の露出量や唾液量などのリスク評価から始め、ベストなバックグラウンドケアは何かを患者さんと話し合って決めるテーラーメイドの予防を行っていかなければならないと述べられた。また、根面う蝕の管理については初期病変を止めるために適切な処置とマテリアルを選択しなければならないと解説された。