|
GC友の会会員誌GC CIRCLE 80号より
| ジーシーメンブレンの臨床応用および注意点 |
 |
東京都渋谷区開業
若林 健史 |
従来より行われてきた歯周治療における外科療法は、歯周ポケットを除去する目的で行う切除療法と、組織の再生を目的とした組織誘導療法に大きく分けられる。しかしどちらの歯周外科療法とも、歯周組織を元と同じ状態に回復することはできない。
特に重度の歯周疾患に罹患し、歯周ポケットが骨縁下におよんでいる症例では、フラップ手術を行い、骨切除や骨整形などにより支持組織を減少させて歯周ポケットをなくすか、またはルートプレーニングを行い、線維性結合を伴わない長い上皮性付着での治癒を期待するしかなかった。
そこで失われた歯周支持組織の付着を再生させるという、まったく新しい概念から生まれたのが、GTR法(組織再生誘導法)である。GTR法は、フラップ手術後に歯根膜細胞の増殖スピードより早い上皮細胞、歯肉結合組織由来細胞の増殖をバリヤー膜で遮断し、歯根膜組織を誘導し、新付着を形成させる方法である。
初期のGTR法では、非吸収性膜−ePTFE膜が用いられてきた。しかし非吸収性膜は組織誘導完了時期に再手術し、除去しなければならず患者にかける負担が大きかった。その点ジーシーメンブレンは吸収性膜であるため、除去する必要がなく、術者・患者ともに負担が少ない。今回ジーシーメンブレンを右下7番の遠心部垂直性骨欠損に応用し、良好な結果を得たので報告すると共に臨床応用上の注意点について述べる。
1
 |
| 術前の状態。根管充填処置まで終了している。 |
| 2
 |
| 右下7番の遠心部から右下6番の近心部まで切開線を入れる。メンブレンを完全に歯肉弁で覆うために、歯肉辺縁に接近した部位に内斜切開を行う。 |
| 3
 |
| 歯肉弁を頬舌側とも粘膜骨膜弁にて剥離する。歯肉弁を広範囲に剥離することにより骨欠損状態が充分に把握でき、メンブレンの被覆も確実にできる。 |
|
4
 |
| 右下7番の遠心骨欠損部の肉芽組織をキュレットなどで完全に除去する。その後、根面の徹底したルートプレーニングを行う。3壁性骨欠損が見られる。 |
|
5
 |
| 試適膜は骨欠損部全体を覆い、骨欠損縁を約2〜3mm越えた部分の大きさにトリミングする。 |
| 6
 |
| 試適膜を70%エタノールで消毒してから骨欠損部に試適する。 |
|
7
 |
| トリミングした試適膜の形状に合わせてジーシーメンブレンをトリミングする。メンブレンに角ばった部分があると歯肉弁の穿孔の原因になるので丸める。 |
| 8
 |
| ジーシーメンブレンを、歯の周囲に縫合固定するために、上部側端から約2mm内側に針を刺入する。 |
|
9
 |
| 右下7番の遠心にジーシーメンブレンを、吸収性縫合糸メディフィットCを用い縫合固定する。メンブレンが歯面に緊密に接していることを確認する。 |
|
10
 |
| 歯肉弁が完全にメンブレンを被覆するように縫合する。完全に被覆できない場合は減張切開を行う。 |
| 11
 |
| 術後約6ヵ月の状態、歯肉に炎症はなく予後は良好である。 |
|
12
 |
| 術前のX線写真、右下7番の遠心部に深い垂直性骨欠損を示すX線透過像が認められる。PD(プロービングデプス)は6mmを示す。 |
|
13
 |
| 術後約6ヵ月の状態、右下7番の遠心部のX線透過像に骨の改造機転を認める。プロービングデプスは3mmを示す。 |
| 14
 |
| 右下7番の遠心部のPD、AL(アタッチメントレベル)の変化。3mmの付着を獲得した。 |
|
|
|