CASE PRESENTATION

GC友の会会員誌GC CIRCLE 92号より
ナノレーザーGL-Iの臨床評価
日本歯科大学歯学部歯周病学教室
鴨井久博
レーザーの歯科臨床応用

  1960年代から医学、歯学分野へと開発、応用が行われているレーザーは、今世紀最後の最大の発明と言われています。(図1)。
  レーザーの作用には、まず、熱効果として、レーザーの焦点で1000℃以上になり、組織の切開や蒸散が行え、焦点を外した部分において組織の凝固を行う効果があります(図2)。また、圧効果としてレーザーの衝撃圧により切開等を行う効果、光学効果としてレーザーを発振させる媒体の特有の波長により選択的に吸収する物質を利用する効果、電磁界効果として電磁波のイオン化や分子結合の破壊などの効果があります。以上、レーザーの作用効果として4つの効果が見られます。
  現在、歯科医療に用いられている主なレーザーとしては、半導体レーザー、Nd-YAGレーザー、Er-YAGレーザー、CO2レーザーなどが挙げられます(図3)。ジーシーのナノレーザーGL-I(CO2レーザー)は、遠赤外線領域10,600nmの波長を持ち、強い熱作用があって軟組織に対する吸収が非常によく、レーザーの到達深度も浅層に限局することから組織透過性がありません。また、一瞬のうちに照射部組織の表層を蒸散させるので治療部位以外の周囲の組織へのダメージが少ない特徴があります。

図1 レーザーの特徴
●波長が単一
●一定方向に進む
●エネルギーの集中性がよい
電灯
レーザー
図2 レーザーの使用方法
図3 電磁波のスペクトグラム

 
臨床応用におけるナノレーザーGL-I

  ナノレーザーGL-Iは、照射出力が0.4W〜10Wまでの幅広い出力を持ち、3種類の照射モード、連続照射(CW)・シングルパルス照射(SINGLE)・繰り返しパルス照射(REPEAT)により、膿瘍の切除、メラニン色素を含む歯肉組織などの軟組織の蒸散、止血、切開等を行うことができます。また、レーザーアーム部分においては、可動範囲の広いマニピュレーターの使用(図4)によりレーザー装置本体の設置場所に不都合がなく、アームのスムースな可動により術者に負担をかけることなく使用できます。レーザー照射部のヘッドは、60度アングルタイプハンドピースにより、歯科用タービンと同様な感覚で口腔内臼歯部でも無理なく使え、オプションで用意されている90度アングルタイプハンドピース、F30・F50・F100のストレートハンドピースにより臨床症状に応じたハンドピースを選択することが可能であります(図5)。

図4 動きがスムースで可動範囲の広い7関節マニピュレーター
図5 照射部位、目的に応じて選べるハンドピース

臨床評価

  CO2レーザーは、軟組織に対する吸収率がよく、照射エネルギーのほとんどが瞬時に熱エネルギーへと変換され、歯肉の切開蒸散を起こさせます(図6)。CO2レーザーの臨床応用例を以下に示します。

図6 CO2レーザー光の吸収効率

CO2レーザーは、軟組織表層で吸収、瞬時に蒸散されるため、周囲組織への損傷が少ない。

Nd:YAGレーザーは、軟組織に対して透過性が高く、損傷範囲も大きい。


症例 
写真をクリックすると、それぞれの症例が表示されます。

症例1
歯肉切除
症例2
小帯切除
症例3
歯肉急性症状に対する応用
症例4
歯肉に色素沈着が見られる組織の蒸散
症例5
抜歯後の止血および疼痛の緩和
症例6
歯周外科時の応用
症例7
インプラント周囲炎への応用



 
 以上のような歯周治療の応用が現在数多く行われ、歯周治療以外でも様々な疾患に対して応用が行われています。レーザー治療は、第一に従来の歯科治療と比較して、患者に対する苦痛を少なくでき、疾患の種類によってはかなりの治療効果が見られ、治療方法の選択の一つになっております。
 歯周治療におけるCO2レーザーの応用では、軟組織に対する応用として、歯周組織急性症状の切除蒸散やメラニン色素を含む歯肉組織の蒸散などを行っておりますが、硬組織に対する応用として、歯周組織再生過程における新付着形成が考えられます。露出歯根面の状態は、歯周組織に含まれる各種細胞のダイナミックな活動を左右する場であり、臨床においていかに新付着形成を導くための状態を作り上げるかが重要な鍵となっております。研究結果より、従来の各種レーザー処置の問題点を考慮することにより、CO2レーザーの歯根面処置および歯周組織再生に関する外科処置への新たな可能性が示唆され、今後CO2レーザーの歯周治療に対する一つの療法への可能性が見られました。
 現在においても基礎的研究、臨床的研究が盛んに行われていることにより、今後レーザー治療が歯科治療の変革の一つとなり得る可能性があります。

●参考文献
1)古本啓一:歯学におけるレーザー研究の25年,歯学,80:949-964,1993.
2)我妻瑞穂,鴨井久博,佐藤 聡,鴨井久一:CO2レーザー照射が歯周組織に与える影響について,日歯周誌,41:264-175,1999.
3)神田昌宏,鴨井久博,吉岡奈保,山蔦佐和,小川智久,佐藤寿祐,佐藤 聡,鴨井久一:CO2レーザー照射における歯肉色素沈着(メラニン色素沈着)除去の色彩学的評価,日歯保誌,42:738-743,1999.


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