
今年の記録的なスギ花粉は、昨年の夏の異常な暑さがもたらした。日本人の過半数を超える人が苦しみ、街ゆく若い人はマスクをしている。免疫学研究が爆発的進歩を遂げているにも拘わらず、スギ花粉に接触しないとか抗ヒスタミン剤使用の対症療法があるにすぎないのだろうか?
スギ花粉に感作されている人では、2分子のIgEがスギ花粉に結びつくと肥満細胞(mast cell)にFc部位で結合し、ヒスタミン、セロトニン、ロイコトリエンなどのケミカルメディエーターが放出される。その結果、スギ花粉症の症状がおきる。
抗ヒスタミン作用を持つものとして、お茶、カカオ、果実などのポリフェノールが脚光を浴びている。また、カテキンの使用も勧められているが、サプリメントによる劇的な効果は、残念ながら聞かない。
免疫応答は、Th1細胞群とTh2のバランスによって調節されている。Th1細胞群が弱い場合、スギ花粉症などが起きやすい。近年、乳酸菌などは、 Th1細胞群を活性化させることが明らかにされた。妊婦や幼児期からの乳酸菌飲料の摂取が花粉症を抑えてくれるというわけだ。
アメリカインディアンは、あるツタにかぶれないために、そのツタを食べていた。漆職人は、漆にかぶれないために漆をなめ続けている。口の粘膜を介したこのような免疫反応を抑えて、アレルギーが成立させないものを口腔免疫寛容という。アレルギーを起こすものを大量あるいは少量頻回に経口的に投与することによって、原因アレルゲンに対するT-リンパ球の働きを減弱させたり消失させたりするのが、口腔免疫寛容である。
IgE 抗体の結合部位であるB-細胞エピトープのアミノ酸を他のアミノ酸に置換し、熱処理や酵素処理などでB-細胞エピトープ活性を減弱させることが出来る。低アレルゲン化食品を大量に食べるか、少量をなめ続けてアレルギーを抑えるという戦略である。食べたり、なめたりするスギ花粉の調理法を検討するグループに期待しよう。
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