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奥田 克爾
Vol.25

インフルエンザの恐怖到来

(2004.10.19)
東京歯科大学大学院
研究科長・微生物学教授 奥田 克爾 著者紹介

 口腔清掃を中心とした口腔ケアは、高齢者の誤嚥性肺炎の予防手段である。私たちは、口腔清掃の徹底は呼吸器感染予防に役立つことを発表してきている。さらに、ICUなどの患者に対する口腔ケアは、人工呼吸器関連性肺炎を予防する決めてであることを指摘してきた。

 口腔内に住み着いている細菌は、それぞれの部位で生態系ができている。咽頭部では、肺炎球菌、ブドウ球菌、緑膿菌や肺炎桿菌などがバイオフィルムを形成して存在している。その数は、口腔衛生状態に大きく影響される。バイオフィルムから脱落した細菌集団が入り込む唾液1ml中には、一億を超える細菌が算定され、高齢者の誤燕性肺炎の原因となっている。

 高齢者などにおける誤嚥性肺炎は、ADLを低下させるだけでなく命を奪ってしまうことも多い。口腔清掃を中心とした口腔ケアは、マンパワーが要求されるものの、呼吸器感染予防の鍵ともいえる。静岡県開業の米山武義先生により特別養護ホームにおける口腔ケアは肺炎を予防することが示された。その発表論文などを基礎として口腔ケアはコストのかからない肺炎予防であることなどからQDLの維持に大切であることが世界的に高い評価がなされている。

診察

 インフルエンザは、欧米でその影響力の大きさからfluとして風邪のcoldと区別されている。近い将来、新しい型のインフルエンザウイルスが世界的規模で襲ってくる可能性が高い。高齢者のインフルエンザの予防は、ワクチン接種も有効であるものの、さらに治療薬も1,000万人分の備蓄が叫ばれている。

 口腔清掃を中心とした口腔ケアは、インフルエンザの予防や肺炎予防になると考えられる。口腔内細菌が咽頭・口腔粘膜を傷害することによってインフルエンザウイルスが吸着し、肺の細胞に侵入することが指摘されている。口腔ケアの意義をさらに知ってもらうためにも、インフルエンザの予防効果について正しく評価していきたい。