


中国の南京とマカオの孤独な旅
2010年の秋、南京大学とマカオWorld Forumに招待され、中国を訪れた。南京は、ヨーロッパで知り合った南京大学の教授に呼ばれ「下顎総義歯の吸着」の講演を行うということしか知らないし、さらにマカオは、一体どういった集まりでどの程度の規模の会なのかさえ分からないという情報欠如の旅である。
事前に相手に何度かメールで質問しても、何の返信もない。日本では人を講演招待する場合は、細かなスケジュールがきちんと決められているのが普通なので、‘不安でしょうがない’というのが本音である。中国とは人にあまり配慮しない国なのだろうかと考えながら機中でプレゼンのチェックをしていた。
南京に到着すると、空港に教授が迎えにきていたが、唐突に車中で1時間後に大学についたらすぐに講演を頼むといわれ唖然。普通は、ホテルで休んでから講演でしょ!日本の常識が通用しない。講演後も中国人のマナーの悪さに胃がキリキリ痛む。車のクラクションは鳴らすための道具といわんばかりに「プープー」大賑わい、 さらに、南京からマカオへ移動の機中でも、携帯電話で大声で話すのは当たりまえ。「やめてくれ!飛行機が落ちたらどうするつもりだ」とストレス倍増。
疲れきってマカオに到着。またまた、ハプニング。英語も日本語も全く通じない現地のタクシーに乗ってしまった。ホテルの名前を言っても通じない。‘拉致されるのではないか’と不安が心をよぎる。仕方がないので地図を見せて怒鳴るような声でホテル名を連呼してやっとホテルに到着。そこはカジノが併設されたゴージャスなホテルで、素敵な講演会場。
ディナーに招待された講師達は、世界的な有名人ばかリで、無名は私だけという感じ。でも私は、2日間に渡る講演会のFinal スピーカー。この場になってはじめて、来講者は、米国やヨーロッパ、オーストラリアの海外からの歯科医師300名と聞かされて、ビックリ! マカオWorld Forumの情報をほとんど持たずに来た、いや、持たされなかった相手のマナーに腹立つ。そして、追い打ちをかけるように不幸は重なる。

プールサイドディナーでウェイターがバランスを崩し、レッドワインが私の頭にドバッとかかり、白いTシャツが真っ赤に染まった。部屋に戻り、持参したワインカラーのシャツに着替え、席に戻って「こんなに綺麗なワインカラーに染まったよ」などと周りの招待者へ冗談を言ってウケを狙った自分に情けなささえ感じる。こんな旅って、ありなの?溜め息まじりの眠れぬ夜が過ぎた。
講演会場は静粛な雰囲気で自分の講演も難なく終了。やり遂げたというよりはマナーのない中国に疲れきったという気分。日本は本当によい国だと痛感。
次は、引き続き2度目の悲惨な中国講演旅行について述べる。
総義歯臨床家:阿部二郎
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