


前回も書きましたが、私は患者に接見する機会がほとんどありませんので、クライアントから送られて来る写真をもとに作業をすることになります。クライアントが使っているカメラやフラッシュの機種も様々で、あるクライアントから送られて来る写真はいつも青味がかっていて冷たかったり、あるクライアントの写真は赤みが強すぎたりして困っていました。
数年前までは、ほとんどのクライアントはJPEGの画像ファイルを送って来ていたのですが、JPEGで記録された画像は、記録(撮影)時に色温度が設定されるので、送られてきた写真のホワイトバランスを補正するのはモニター上で目視で行う作業となり、とても難しかったのです。そこで、ここ数年は、クライアントにRAW画像のファイルを送ってもらい、撮影時にグレーカードを使ってもらうことにより、私がカスタムホワイトバランスを行う方法に切り替えました。
私のDental Photographyの講演や実習会、『歯科技工』の論文をご覧になった方はご存知のことと思いますが、私は独自のプロトコール(規格写真)をクライアントに撮影してもらっています。顔面写真を撮影する時には「QPcard 101」(QPcard AB社)を頬の横に添えて数枚、口腔内写真には、そのグレー部分を約1cm四方に切ったものを付けて数枚撮ってもらいます。
グレーカード入りの写真をPhotoshopのCamera Rawで開いて(図1)色温度と色かぶり補正値の平均を基に、同じ構図のグレーカードの入っていない写真のホワイトバランスを補正して現像します。現像された写真(図2)でコラージュテクニックを使って臨在歯とのシェードを評価します(図3=後のDental Photography講座で詳細を説明)。
実際にこの手法でカスタムホワイトバランスを行い、陶材選択・築盛に役立てた臨床ケースを下にご紹介します。両中切歯にベニアが入っていたのですが、歯肉が退縮してマージンが縁上に露出し、ステインしていました。また、ベニアの舌側マージン部もチッピングしてステインしてましたので、ジルコニアクラウン(「Lava」3M、「Creation ZI-F」FACT)で補綴しました。患者の要望により、クラウンは少し明るめに製作しました。
この手法によるカスタムホワイトバランスは、シェードマッチングの難易度が高い前歯の単冠や少数歯の臨床ケースには、とても役に立ちますのでご参考になれば幸いです。

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