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相羽 直樹
Vol.186

Dental Photography講座1
適正露出

(2011.06.20)
アメリカ・カリフォルニア州 歯科技工士
相羽 直樹 著者紹介

  今回から、Dental Photography講座と題しまして、私が日常臨床でクライアントにお願いしている写真の撮影法と、実際に送られてきた写真の活用法について書きます。私のラボはカリフォルニアにあり、クライアントのほとんどは東海岸側にいますので、私が患者さんに接見することはほとんどありません。ですから、写真が大きな役割を果たします。私と同じような状況でお仕事をなさる読者の皆様の参考になれば幸いです。

  写真撮影で基本となるのは、適正露出を得ることです。写真の明るさは、Photoshopなどの画像用ソフトで調整できますが、極度にオーバーまたはアンダーの写真をソフトで調整すると、一見露出が直ったように見える写真でも、実際には歯牙のディテールや色調のバランスが再現されていないことがあります。ですから、撮影時に適正露出を得ておくことが大切なのです。

  口腔内写真で適正露出を得るのに最も簡便な手法は、マニュアル撮影です。TTLで撮影すると、レンズを通った光でフラッシュ光量を自動的に調節する仕組みになっているので、うまく撮れていればそれでいいのですが、うまく撮れないとき、対処しづらいのが難点です。マニュアル撮影は難しいと思われがちですが、適正露出が得られるフラッシュの発光出力と絞り値の組み合わせを設定して撮ればいいので、実際には簡単なのです。下に、マニュアル撮影で適正露出を得るためのフラッシュの出力と絞り値の組み合わせを見つける方法をまとめましたので、一度試してみてください。

(1) カメラとフラッシュの操作モードをマニュアルに設定にする。
(2) シャッター速度をフラッシュと同調する最高速度に設定する(フラッシュ同調最高速度は、カメラの使用説明書のフラッシュ撮影の欄に記載されています)。
(3) 顔面写真の場合フラッシュの出力をフルパワーに、カメラのISOを200に設定します。
口腔内写真の場合は、出力を1/2か1/4に、ISOは100に設定します。
(4) 倍率を一定に保ち、絞りだけを段階的に開けて行きながらテスト撮影します。

  主要機種の適正露出が得られるフラッシュ出力と絞り値の組み合わせを目安としてまとめてみました。

  顔面写真(ISO 200) 口腔内写真(ISO 100)
  フラッシュ出力 絞り値 フラッシュ出力 絞り値
Canon Macro
Twin Lite
MT-24 EX
Full (1/1) F16 〜 13 1/4 F29 〜 22
Canon Macro
Ring Lite
MR-14 EX
Full (1/1) F10 〜 8 1/2 F25 〜 20
Nikon R1C1 Full (1/1) F13 〜 10 1/2 F36 〜 29
Nikon SB29s Full (1/1) F14 〜 11 1/4 F29 〜 22

Nikon SB29s Full (1/1) F14 〜 11 1/4 F29 〜 22 Canon Macro Twin Lite MT-24 EXとNikon R1C1は、左右のフラッシュを上から見てレンズの光軸と平行になるように設定した場合。

  適正露出は好みや用途によりますが、ヒストグラムを用いて評価します。ヒストグラムが枠内に納まっていることが前提で、右側にはみ出していれば露出オーバーで、左側にはみ出していればアンダーとなります。歯科医師は歯肉が健康的に見えるやや明るめの写真が、技工士は歯牙の色調や特徴が見やすいやや暗めの写真を好む傾向にあります。歯科技工士なら補綴物を作るときにどのような露出の写真が使いやすいかを知ること、歯科医師なら、一緒に仕事をしている歯科技工士に聞いてみることをお勧めします。


F32は露出アンダー、F16はオーバー気味です。適正露出は、F25〜F20です。
下の段は、カメラのモニターを写したものです。撮影後、ヒストグラムをカメラのモニターで検証します。

詳細は、下の文献をご参照ください。
相羽直樹:DENTSCAPE ― Dental Photography for Dentist-Laboratory Communication ― 歯科技工, 37 (4, 5), 2009.