今年の「海の日」はカラリと晴れて、東日本を中心に気温がぐんぐん上がり、各地の海水浴場が賑わいました。東京では各地で花火大会や夏祭りが開かれ、休日の夜に浴衣姿の若い人たちが電車に乗り込んで来る姿も、ちょっとした夏の風物詩になっています。
2008年のような猛暑は困りますが、このところ、天気の変動が激しくて体調を崩す人が多かったので、ここで天候が安定するといいですね。
さて、夏といえば、雷さま。関東ではこの時期の日中の発生数が一番多いようです。日本の上空は四季を問わず、時折、寒気が入り込みやすいため、地上付近の気温が高くなればなるほど、大気の状態は不安定になり、にわか雨や雷雨が起こりやすくなるからです。夜になって地上付近の気温が下がると、大気の状態は次第に安定するので、にわか雨や雷雨は日中よりも起こりにくくなります。
この雷さま、昭和初期には「地震、雷、火事、親父」といわれて、恐れられていました。昨今は日々の暮らしの中で轟音や目の眩むイルミネーションに慣れてしまって、地震や火事ほど怖いと感じませんが、大自然の中で雷に遭ったときの恐さは格別です。
私ごとですが、以前は夏になると家族と八ヶ岳山麓で過ごしたので、青い空にもくもくと湧く入道雲が映える姿に惹かれて、よく山頂に登ったものです。山頂付近はさすがに涼しく、しばらくは壮大な景色を満喫して楽しむものの、一天にわかにかき曇り、激しい雷鳴と大雨に見舞われて避難することも多かったです。
今思うと、あの入道雲こそ悪天候に急変する予兆。大気が不安定になるときに、入道雲が大きくなるのですから、近くに雷が落ちる危険を考えると、「それも山の醍醐味」というのは浅はかでした。
実際に落雷に遭った方のお話によると、口の中に鉄の味が広がり、髪の毛が逆立ち、空気が静電気を帯びたように皮膚がビリビリと感じるそうです。
ちなみに、日本の上空には四季を問わず、時折、比較的冷たい空気(寒気)が入り込みやすく、その都度、嵐、雷雨、大雪など激しい気象現象が引き起こされます。これが日本の美しい四季の源です。
雷の光を「稲妻」というのは、稲が成長するこの時期に雷が多いと豊作になるから。雷が大気中の窒素を水田に定着させることに、昔の人は体験的に気づいていて、稲を助ける「稲の妻」と呼んだのです。
気象庁も研究機関もない時代に、雷の多い年は農作物の生長がいいと気づく賢さ。一見恐ろしい雷鳴さえ、その後の経過をよく見て、「結果的には天の恵み」と受け止める賢さと明るさがあるからこそ、ご先祖様たちは寒暖の差の激しいこの地で生き抜いてこられたのでしょう。
コラムニスト 鈴木 百合子
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