雨上がりの青い空に、東京スカイツリーがすっくと立っています。近くで見ると、さすがに世界一の高さの電波塔だと圧倒されます。
せっかく近くに来たからには上りたいところですが、展望台入場券の倍率が、5月22日の開業日に最高335倍を記録したのは記憶に新しいところ。日時によってはキャンセルが出ることもあるようですが、7月10日までは入場券は完全予約制かつ抽選済みで、急に思い立っても上れませんから、ご注意ください。
スカイツリーの周囲には大規模商業施設、水族館、プラネタリウム、オフィスビルで構成する東京スカイツリータウンという大きな街ができました。
話題のソラマチのお店には、634mmという巨大な限定品のバゲットや団子が8個もさしてある「東京電波塔だんご」から、塔のデザインがオシャレな文具や小物など、ここでしか買えないものがたくさん並んでいます。
今年の3月17日には、駅名も「東京スカイツリー駅 旧業平(なりひら)橋」に変わりました。もとの「業平橋」という駅名は近所にある橋の名前で、平安時代の家人で伊勢物語の主人公といわれる在原業平(ありわたのなりひら)を祀った「在原業平神社」がその由来です。
名にしおはば いざ言(こと)問はむ都鳥 わが思ふひとはありやなしやと
都鳥よ、「都」と名前がつくお前に尋ねよう。私が思いを寄せるあの人は、無事に暮らしているのだろうか?----------「伊勢物語」の主人公がある高貴な女性と駆け落ちしようとして掴まり、罪を問われて流された遠い異郷の地で、離ればなれの愛する女性を案じて詠んだ歌で、「都鳥」とはゆりかもめのこと。在原業平は和歌を詠ませれば六歌仙、祖父が二人とも天皇で、おまけに美男子だったので、悲恋の主人公にピッタリだったのでしょう。
この歌の「言問(こととい)」も橋の名前になっていて、その近くには有名な言問団子の店があり、街から遠い場所ですが、いつも賑わっています。隅田川の堤防に桜が咲き揃う春の季節は、見ているだけで心が温まるのどかな美しさ。
大規模観光地もいいけれど、屏風や江戸切り子ガラスなど伝統工芸品の職人芸を見られるのは歴史ある商店街ならでは。地元の商店街もお客様を迎えるためにさまざまな工夫をしています。北十間川のあたりにも歩きやすい遊歩道が整備されていますから、ぜひ、足を延ばしてみてください。
コラムニスト 鈴木 百合子
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