急に高くなった青空の下、紅や薄いピンクの色とりどりのコスモスの花が微かな風に揺れています。その愛らしい姿を見るたびに、「今年の夏がようやく終わって次の季節に・・・」という気がします。
東北の空の玄関口、仙台空港ビルもこの25日に完全復旧しました。空港は人と物流の要だけに感無量ですね。
そういえば、震災からの復興の話題が多くなって以来、関東大震災(大正12年9月1日)の復興に活躍した後藤新平の名前がよく話題に上ります。
後藤新平は安政4年、岩手県生まれ。医師・官僚・政治家というエリートの鏡のような人で、明治・大正・昭和の激動の時代を日本の政治の中枢で生き抜きました。
関東大震災のときに内務大臣・帝都復興院総裁に任命され、一年分の国家予算と同額というスケールの大きい復興計画を立て、日本の将来を見据えた都市計画を模索。大幅な規模縮小を余儀なくされながら、道路計画、公園や公共施設の整備などを実現し、現代の日本の繁栄の基盤を作りました。「大風呂敷」と揶揄されながら、交通や衛生など現在にも共通する多くの問題を抱えていた東京に「国家百年の計」としてさまざまな改革を持込んだのです。
彼は晩年、教育者としても活躍し、若者の教育に力を注ぎました。
71歳のとき遊説に向かう途中、脳溢血で倒れ、「財を遺すは下、事業を遺すは中、人を遺すは上なり」という言葉を後輩に残して逝去したそうです。
今回の東日本大震災の被災地は農山漁村型災害、関東大震災は都市型災害なので、後藤新平の復興計画をそのまま踏襲はできませんが、これから地域の復興事業が始まるときに、人材を育てていくことが一番大事だという後藤新平の言葉は重みがあります。
さて、私ごとで恐縮ですが、3月11日の14時46分18秒、私は東京の地下鉄大江戸線の車中にいました。東中野駅(地下33.8m)まであともう少しというところで車両が緊急停止。横揺れが続き、10分ほど地下鉄の車内に留め置かれた後、東中野駅で全員降ろされて地上に出ました。
でも、本当に恐怖を感じたのは地底にいるときでなく、夜になっても片側三車線の都道環状6号線に渋滞した車が果てしなく続いているのを見たとき。「もし火災が起きて近くの車に引火したら、いや、遠くの車であっても幹線道路を伝わって火の海になったら逃げられない」と愕然とし、一瞬、立ちすくみました。
関東大震災の被災は主に地震に伴う火災でした。東日本大震災ではたまたま首都圏の主要道路が火事にならなかっただけで、市街地の大火災は他人事でありません。
日本の復興のため、被災した方々とともに努力していきたいと思います。
コラムニスト 鈴木 百合子
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