夏でもひんやりと涼しい太古から続く延々と広がる原生林。精霊が宿る深く暗い森、樹々の合間を抜けて輝く陽射し、苔むす大きな岩、澄んだ川、人間を見つめる現住生物の気配・・・。
最近は「もののけ姫の森」と呼ばれている屋久島の白谷雲水峡のあたりには、もともと姫神伝説があったそうです。
今年の夏旅行のキーワードは、今年3月に鹿児島ルートが全線開通した九州新幹線「つばめ」と「パワースポット」。
さて、今年はどこに行こうかと調べていたら、「地球の歩き方」の夏休みの国内旅行の人気ランキング第3位に、鹿児島県が入っていました。その鹿児島県で一番人気がある観光スポットが屋久島のようです。
「パワースポット」の意味は人によって違うようですが、「日常生活から離れ、新鮮なエネルギーで気持ちを満たしてくれる場所」という意味で使うなら、1993年に世界遺産に登録され(日本で2番目)、ほぼ全域が険しい山地で神秘的な原生林の広がる屋久島は由緒正しいパワースポット。
屋久島は杉の大木が有名で、「縄文杉」とよばれる樹は推定樹齢2000年以上、「大王杉」にいたっては推定樹齢3000年以上生きているそうです。
屋久島自体も、7世紀後半には多禰国(たねのくに)として日本と交易し、702年頃、日本に征服された後、今の種子島と屋久島を合わせて嶋司(国司)がおかれたという長い歴史があります。
折しも現代の都会では、節電対策で大わらわ。
土日を営業日として平日と休日を入れ替えたり、サマータイム制度の導入により始業・終業時間を早めるなど、複数の企業が夏場の勤務時間を変更したり、「クールビズ」の実施期間を長くしたりと、どこも大変な状況です。
近年、日本の夏の平均気温が上がり続けていますが、江戸時代には世界的に低温だったらしく、今より平均5〜6℃低かったといわれます。気象庁の明治時代の記録を見ても、今より平均2〜3℃低かったことがわかります。
今と昔とどちらがいいとは単純に比較できませんが、この夏の旅行で、もともとこんな神秘的な照葉樹林の森が広がっていた日本の土地を、千年単位で開発して来て今の私たちの暮しがあることを実感し、これからどういう価値観で暮らして行くことが自分にとって一番いいのかを考えてみるのも一興でしょう。
皆様もいろいろな旅行計画があると思います。今年の「節電の夏」「猛暑の夏」のイメージに、「心に残る旅の夏」が加えられるといいですね。
コラムニスト 鈴木 百合子
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